SSブログ
社会風景 ブログトップ
- | 次の10件

ラゾーナの謎 [社会風景]

仕事帰り途中にあるラゾーナ川崎に寄った。9/28オープンだが混んでそうなので寄らなかったんだが、昨日寄ってみたらハナモク(死語)にも係らずガラガラでびっくり。混んでいたアイスクリーム屋ぐらいだった(爆)。それにしても只々デカいだけで店構えが、ビックカメラ・ロフト・ユニクロ・HMVと新鮮味がまるでない。唯一、本屋が丸善が入っているのが意外だった。私は大好きだが、あんな専門書ばかり置いた玄人好みの品揃えは、合わない気がするなぁ~。駅の売店のスポーツ新聞で十分間に合う人達だから(爆)。延々と続く細長い巨大ショッピングセンターを歩いていると往時の巨大百貨店や船橋のららぽーとを思い出した。大体、この二極化の時代にこんな巨大ショッピングセンターを作ったところで、誰が買いに来るのか?そりゃ土日はもっと客が来るだろうし、開店時には安売りや特典(昨日も”100人に一人無料”の当りの鐘がガラガラのビックカメラ内に虚しく響いて当事者は困惑していた)、話題作りで客も集まるだろう。しかし、ブームが過ぎれば、危険分散をして店は次々入れ替わるだろうが、数年後には廃墟となるのは目に見えている。
 なぜならラゾーナ川崎の店構えは明らかに中流層をターゲットにしているからだ。川崎という土地柄を気にしてか明らかに、表参道ヒルズの様な高級者向けではない。かといって食堂街などは結構高くて下流者向けでもない。中途半端な価格に歩くだけで疲れる異常な広さ。そもそもただでさえ少ない中流層は、サービス残業にヘトヘトで、買い物の多くは皆ネットや通販で済ましてしまいがちだ。もともと体力も機動力もない階層だから広いところでさあ買え!ってやられると暗闇から突然電気を点けられて部屋の真ん中でウロウロするゴキブリ(爆)の様に思考停止なってしまう。結果、コンビニなど「座ったまま手を伸ばす範囲に何でもある様な状態」を望む、出不精で怠け者な生活が心地良いと感じる様になった。昔は海辺や山中でやったバーベキューも今は都内の河原でやっている。遠出をするのが面倒臭いのだ。そんな体力も気力も時間もない。高級品以外は近所で十分なのだ。
 川崎市はかつて、富士通、日立、NEC、東芝という日本を代表する大手電機メーカーの工場がひしめき物づくり大国日本の象徴であったが、今やそれらの工場は次々と取り壊され高層マンション街に変貌している。付近の古くからの住民は不当に日照権を奪われ、SF近未来の都市のダウンダウン宜しく暗い寂れたスラムと化していく。そんな中真新しい無機質で人工的な巨大マンションだけがにょきにょき伸び、それは人の顔が見えない、どんな奴が住んでいるのかも知れない、自殺や子供が落とされる犯罪、エレベーター事故の温床になる様な、冷たい構造物である。それらは我々の利益を吸って伸びているが、いずれ誰も住まなくなり廃墟と化す。その寿命は年々短くなっている。旧東芝工場跡地に作られたラゾーナ川崎も、滅び去った日本の輝かしい産業時代の上に立った墓碑に過ぎない。かつてその工場で働いた日本経済を支えた多くの工員たちは今どこでどうしているのだろう。まさかアイスクリーム屋で「いらっしゃいませ」と声をかけているとも思えない。結果、街には益々ホームレスが溢れ、基幹産業は中国やインドや台湾や東南アジアに移ってしまい、日本で物を作る人は誰もいなくなる。
 ラゾーナ川崎の照明が眩しく、内装がぴかぴかに綺麗であればあるほど、そこに潜む闇と汚れは鮮明になり、未来の廃墟に見えて仕方がないのだが。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(1) 
共通テーマ:日記・雑感

空気に付加価値を認める人々 [社会風景]

 随分前の話だが、パリに旅行に行った職場の同僚が皆のお土産に「パリの空気の缶詰」なるものを買ってきたことがあった。現代美術をこよなく愛する彼女の目にそれは、とても洒落たオブジェに映ったのであろうが、私を含め他の同僚にはその価値は全く理解できず非難轟々だった(爆)。だが、それも単なるオブジェではなくなる日が来るかもしれない。

 あれから十数年たった今日、コンビニで「02サプリ」なる商品を見かけた。無論、高山を登る人や激しい運動を行う人々向けに酸素ボンベは昔から売ってはいるが、全く普通の人が「集中力を高める」などの理由で「空気」を600円で買うとはちょっとした驚きというか疑問である。
 
 しかし考えてみるとその十数年前までは水を金を出して買うことも珍しがられていた。私がある日、今では普通となったミネラルウォーター(この呼び名も今は古いのであろう)を飲んでいると先輩が、「水に金を出すなんて信じられない」と言っていたものだ。しかし今やその先輩はそんな感想は恥ずかしくて言えないにどころか恐らく水道水は飲んでいないだろう。さらに昔、初めて缶入りウーロン茶が発売された時、「砂糖の入ってないジュースに金を出す気にはなれない」と漏らした友人もいたっけ。しかし今でも昭和一桁世代の人は水道水を平気で飲む人も多い。また、水の綺麗な地方出身者にもまだ水に金を出す気にはなれない人が多くいるだろう。2003年に茨城県神栖町で井戸水が原因の砒素中毒が発生した際、首都圏でもまだ井戸水を飲んでいる人が多くいるんだなあと改めて感心した。彼らにとって水はまだ空気と同じだった。しかし中東の砂漠の国サウジアラビアでは海水から作っている真水は石油よりも高い。初めてイタリアやフランスを旅行した時、欧米先進国ですら水道水は白く濁っていて飲めず、ミネラルウォーターでさえ無炭酸水はとても手に入りにくいことに驚いたものだ。70年代・80年代の高度経済成長時代の東京を生きた我々にとって川はドブ、海はヘドロの世界であり、カルキ臭い水を我慢しながら飲んでいた時代に、真水に金を出すことはさして抵抗感はなかったし一度受け入れると、多摩川にアユやアザラシ(爆)が上ってくるほど水質が改善しても、もう元の水道水を飲む生活には戻れなくなっている。

 「映像の世紀」(NHK)には大戦中のロンドンではナチスドイツの毒ガス弾による空襲の恐怖からガスマスクを付けてダンスをしたり、赤ちゃんがガスマスクをしている市民の映像が残されているが、当たり前にあったはずの空気がある日を境に大変価値の高い物質に変貌を遂げた瞬間である。生まれ落ちた瞬間からスモッグや排気ガスが日常の日本に住む2000年代チルドレンにとって、空気に金を出すことに何ら違和感を感じないとしたら、何やらうそ寒い気がしてならない。森林破壊が進み、炭酸ガスが地球環境を変えるほど増大する現代、我々は一体何時まで空気をタダで吸うことができるのだろうか。気が付くとミネラルウォーターを飲む様に、駅の売店で自販機で、空気を買う時代がほら、もうすぐそこまでやって来ている。椎名誠が以前「あやしい探検隊」で、キリマンジャロに登った際、余った酸素で「酸素パーティー」をやって「この酸素はドライかな」とか冗談で言ってたという話を書いていたが、それももはや冗談ではなくなって来ている。そのうち出るぜ、「南アルプス天然空気」が。

NHKスペシャル 映像の世紀 SPECIAL BOX

NHKスペシャル 映像の世紀 SPECIAL BOX

  • 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: DVD


あやしい探検隊アフリカ乱入

あやしい探検隊アフリカ乱入

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 1991/02
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

また首相は遊んでる [社会風景]

帰りに駅の定期購入場所の前を通ったら今日から新年度ということで、新入社員など長蛇の列が出来ていた。その向かい側には新聞紙を敷いた上にホームレスの方が地べたに寝ていた。私は並ぶのも待つのも大嫌いなので、多少、損でも本日定期は買わず、長蛇の列とホームレスの間を通り過ぎたが、定期購入者は文句も言わず長時間も苦にせず黙々と自分の順番を待っていた。ホームレスはそんな列には全く気付かず寝ていたし、定期購入者たちもホームレスなど全く気にも止めていない。両者はごく近くにいるのにその間に横たわる溝はなんと深いことか、その間に立ち、思わず立ち止まり振り返って眺め考えてしまった。ホームレスの方にもかつて定期を並んで購入した日があったのだろうか。何が両者を分けているのだろうが。間に立つ自分は一体どちらの側に近いのだろうか。 並ぶのに疲れ列から離れ、やがて立つことを止めた時、私も彼らもああなるのだろうか。
そんな生き難い社会の中、わが国の総理大臣は今日も金メダリストとオペラなんか観て遊んでいた。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

新年早々 [社会風景]

今日、居酒屋で飲んでいたら、後ろで派手な飲み会をやっていたのですが、そこで小さな子供が走り回っていました。あんな煙草の煙バンバン、下ネタバンバン(^-^)の席に子供を連れてきて深夜まではべらしてる親の顔が見たい!(-_-;って思ったら親は一番奥の席で子供ほったらかしで飲んでましたね。案の定、派手な服に派手な髪型のヤンママでした。
 少子化時代に子供は完全な”邪魔者”なんですね。子供はもはや子供専用の社会ではなく大人の社会で育てられていくのですね。そういえば、最近、小学生が糖尿病だの肩こりだのストレスだの寝不足だのという話を良く聞きますが(犬もなるらしいですが・・犬専用の保険というのがあるそうでびっくりです(@_@; )、さもあらん!と思いますね。そのうち小学生は、肺癌になったりアル中になったりするでしょう (T-T) 。

全く、てめえらえー加減にせえよー! ちったあ子供の気持ちを考えろ!(-_-#


nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

俺たちに定年はない [社会風景]

 俺たちフリーターに定年はない。退職金もない。年金暮らしも期待できない。一生、現役だ。それでいいのだ。働かざる者食うべからずだ。
 大体60歳で定年になって、まだ体も頭もぴんぴんしている連中が、年金もらって世界一周クルーズとかして遊んでいるのはおかしいって!財政が有り余っている時期ならわかるけどさ。いっちゃん腹立つのは自分たちはきちんと年金払ってきたんだから貰って何が悪い!っていう意見。あのなあ、自分が払った金がそのまま戻ってくるのなら貯金と同じじゃん!お前らが払った年金は、バカな国がとっくに使い込んじまってるさ。今、お前らが今もらっている給付金は、俺たちがなけなしの給与から払ってる国民年金ないし雇用年金じゃないのか!全く、減額して返還してもらいたいよ。こっちは貰える可能性が薄いっていうのに。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

郵便局はちょっとだけ重要だ [社会風景]

 五島列島 小値賀島で 地の神島神社 を探して道に迷った時、通りがかりの郵便配達の人に聞いたところ、親切に道を教えてくれた。なんといっても郵便局員は地域のエキスパートだ。
 遠野で 続石 を目指して自転車をこいでいた最中、デジカメのバッテリーが古くなっていて、思ったより早く電池が切れてしまい、困っていたところ、回り中田んぼしかないような場所に、ポツンと一軒、郵便局があり、そこで充電させて欲しいとお願いしてみたら、快くコンセントを貸してくれた。
 ああいう場所にある郵便局は民営化されたら真っ先になくなってしまうんだろうなあ。

 郵便局は、僻地を旅行する趣味のある私にとって、その程度には必要だ。

 私は東京都出身なので、幸い、周りに銀行や証券があり、郵便局にお金を預けたことはない。年賀状も書中見舞いもまめにだす方ではないし、最近はメールで済ましてしまっている。
 しかし遠野や小値賀島といった地方ではどうだろうか。郵便局しかなかったらやっぱり郵便局にお金を預けるだろうし、携帯も圏外、光もADSLもなかったら、それどころかPCに触ったこともなかったらやっぱりもっと葉書を出すだろう。

 唐突だが私はパチコンが嫌いだ。私の家の近所にはパチンコ屋がなく親もパチンコをやる習慣がなく、映画館や美術館、本屋、レンタルビデオなど娯楽は他にいくらでもあったのでパチンコになじみがなかった。大学生になって初めてパチンコ屋に入った時、そのパチンコ玉と電子音と店内放送による圧倒的な騒音と、タバコと体臭の充満した窒息しそうな空気、大の大人が横一列に並んで思考停止状態でいる不気味さになじめず気持ち悪くなってすぐ出てしまった。ところが、会社に入って地方に転勤になった時、寮がなんにもにもない田んぼのど真ん中で、そこにさん然とパチンコ屋の灯だけが赤く輝いている場所だった。娯楽はパチンコしかない場所で1年間いる間に自然に1回入ってしまった。結局余りの早さで金が無くなるのに恐ろしくなり、かつ手元に何も残らない虚しさからやはりすぐにやめてしまったが、子供のころからああいう場所に住んでいたら東京に出てきても迷わずパチンコをやっているだろう。 まさに地域は人を変える。郵便局も同じだ。

 今の私にとってパチンコ屋は困った時にトイレを借りる場所だ。郵便局も私にとってその程度
には重要な場所である。

 

 
 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

永岡衆議院議員自殺とドラゴン桜 [社会風景]

選挙準備の挨拶まわりに疲れてしまったのでしょうか?
正に、”魔の月曜日”です。
東大を出て、世田谷区に居を構え、衆議院議員になるまで努力しても幸せになれないこの国って、一体何なんでしょうか?心よりお悔やみ申し上げます。

ドラゴン桜 が言うような、”東大に入っただけで勝ち組”という世界はもうどこにも存在しない(但し、あのドラマは人生はやり直しがきく という一点にのみ共感できる。もっとも対象となる若者達は 人生をやり直す などという言葉を用いるには余りに若すぎるが)。

ついに死人を出してしまった小泉総理。解散撤回か?


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

恐るべきニートという差別 [社会風景]

ニートとは何か?さっぱりわからない。
goo辞書によれば「無職の人。無業者。職業にも学業にも職業訓練にも就いてない(就こうとしない)人のこと。〔イギリスの労働政策において用いられる語。近年,国内でもこのような若者の増加傾向が指摘されており,問題視されている〕」
漠然とし過ぎてますますわからない。ここで”若者”という言葉に重点を置き若者=青年と解釈し、
「青春期にある若い男女。一四、五歳から二四、五歳頃までをいうが、広く三〇代をも含めていう場合もある。」(goo辞書)とのこと。
ニートは「14歳~25歳の職業にも学業にも職業訓練にも就いてない人」という定義が成り立ってくるが、問題は”職業訓練”であり”就こうとしない”の定義である。
7月10日付け日本経済新聞朝刊東京版の「今を読み解く 『働かぬ若者』に新視点」という記事にニート八十万人以上とあるが、よくそういう数字を耳にするが一体どうやって調べたのか?まさか単にハローワークに登録しているかどうかで決めているのか?だとしたら相当、いい加減な定義だ。大体、今時の若者はハローワークなんか行かない。なんか”職安”=日雇いのおっさん=汚い=ダサい=危険 みたいなイメージがあって行きにくいんだそうな。ハローワークよりも管理者不明の怪しげなサイトや、駅前に置いてある無料バイト斡旋誌の方を選択してしまうのが今時の若者である。これは子供だけに責任があるのではなくてその親も、職安に行く人=失業者=人生の落伍者 みたいなイメージがあって自分の子供が職安に行くことを良しとしない傾向がある。結果、せいぜいよくてリクルートあたりに登録というのが関の山で、ハローワークには登録しない。ましてハローワークが行う職業訓練なんて絶対しない(っていうかそんなもの知らない)。だから今日も一生懸命バイトに精を出す若者はまさか自分がニートに数えられていることなど知る由もなく、またこの記事を書いているようないわゆる学芸大教授のような有識者もそんなことも知る由もなく、それを参考にする政治家も新聞社もそんなことは知る由も無く、そんな新聞記事を読む親世代の主婦もそんなことは知る由もない。
 フリーターという用語は古いため、定義もニートよりややしっかりしており「定職に就かず,アルバイトで生計を立てる人。就労意識の変化により,働き方のひとつとして定着。〔「平成 12 年版労働白書」ではフリーターを「年齢が 15~34 歳。アルバイト・パートである雇用者で,男性については継続就業年数が 1~5 年未満の者,女性については未婚で仕事を主にしている者。また,現在無業の者についてもパート,アルバイトの仕事を希望する者」と定義している〕(goo辞書より)となっている。つまり35歳以上はフリーターではない(ではなんだ?)。男性は34歳以下でも5年以上務めていればバイトでもフリーターではない(だそうだよ、君)。女性は既婚者は34歳以下でもフリーターではない。またこの「仕事を主にしている」が曲者で、これは「仕事を主にしていない者」とはどうやら学生と花嫁修行(死語化していたが細木かず子ブームで復活)者を指しているらしい。当然、仕事を希望する者とはハローワークに登録していることが重要となるのだろう。しかしハローワークの求人には、”一般”と”パート”しか存在しない。つまり”アルバイト”という定義は存在しないのだ。パートというと主婦のオバチャンを想定してしまうが男性でも非常勤でもパートはパートであり、ましてフリーターという定義は存在しないだ。自分で俺はパートだと名乗りにくいが・・・・・。では派遣は?とまたややこしい疑問が湧いてくるがそれはここでは置いておこう。

90年代前半までフリーターはサラリーマンより格好良い、自由といったポジティブなイメージで捉えられていたが現在では、ニートとセットで先の見えない=将来性のない、定職に就かない=飽きっぽい・怠け者、夢ばかり追っているピーターパン症候群といったネガティブなイメージが台頭している。前出の日経の記事でもフリーターやニートを「『学校卒業-正社員として就職』というコースを正常とみなし、そこからはみ出した人」「就業意欲を高める教育」を必要とする者、「目的意識が明白でないもの」、「夢見る使い捨て労働者」、「『実現可能性が薄い』夢を見続け、将来のない単純労働や下働きしている現実から目を逸らしている」、「夢から覚めた時、危機が生じる」「内的には幸福だが使い捨てられる大衆」としている。そして逆の存在(おそらく定職ついている人、勝ち組と言われる人か)は「不幸な少数のエリート」としている。
 フリーターは理想主義者か。それは過去の話で自殺者が3万人を超える現在では違う。現在のフリーターはなりたくてなった訳ではなく、フリーターしかなりようがなかったからフリーターをやっているのである。サラリーマンの労働条件は酷い。組合は形骸化し、サービス残業は月120時間を超え(内勤なら80時間ぐらいだが、営業には残業手当という概念がそもそもない)、寝る暇もない。目標達成できない者は死ねと豚呼ばわりされ、社内の人間関係は劣悪、ヒートアイランド現象と都心回帰、自殺による人身事故で通勤地獄は悪化、鬱を口にした者はリストラ、出産を口にした女性は
リストラ、夏季休暇もなく、昼休みもなく、片手で飯を食いながらキーボードを叩き、ひたすら働き続ける。当然、基礎体力のないものは辞めざるをえない。鬱の最大の原因は疲労であり、特に睡眠不足、寝ている間に夢を見なくなることが脳内物質であるセロトニンやノルエピネフリンに悪影響を及ぼすと言われている(「『うつ』をやめれば、楽になる」より)。サラリーマンを辞められた者は幸せである。家族のいる者は大抵辞められず、自殺、失踪に走る。自分を鬱と認めることはプライドが許さない。そしてもはや夢と化した終身雇用制(=定職)にしがみ付くのである。その意味ではサラリーマンの方が夢想家である。社会のシステムが変ったのにそれを認めようとはせず払われる保障のない保険費用を払う。疲労の蓄積は正しい判断能力を奪う(従ってJR福知山線の脱線事故のようなことが起きる)。国や政治や社会や会社や人生について冷静な判断能力を失い、権威に盲従していく。そしてある日突然破局がやってくる。今のフリーターは沈没船から逃げる鼠のようだ。船に乗っている奴らは、沈みかかっていることに気付かないか、わかっていてもお得意の使命感(=責任感)とやらで船と運命をともにするらしい。体が丈夫だと危機に鈍くなる。
 定職=頭脳労働、フリーター=肉体労働という認識も甘い。今やPCの普及で会社から頭脳労働を消え去り、ごく一部の専門職を除けば、暇な公務員以外は皆肉体労働である。考えることはほとんど機械がやっているのである。 
 だれだって安定した雇用を望んでいる。それには弱者も安全に働ける仕組みが必要だ。根性が足りないという精神論ではもはや成り立たない劣悪な成果主義がこの社会を覆っている。
 「ニートは、『豊かさにとらわれない生き方』」という意見もある。確かにフリーターは金はないが時間はたっぷりある。どっかの馬鹿な社長が「お金で買えないものはない」などとほざいていたが、人は夢だけでは生きられないがお金だけでも生きられない。夢は心、即ち希望であり、希望はお金では買えない。どんなに預金の額が増えても希望がなく心にいつも不安があれば、永遠に満たされることはない。どうせ将来が見えない時代なら昔からやりたかったことをやり今日一日を精一杯生きる、金は生きていく上で最小限あればいいというのも人生の一つの形である。しかしニートは、イメージとして親のすねかじり、ごくつぶし者、というイメージがある。しかし、以前から社会にはボンボン、土地成金、花嫁修業といった層は存在しており、ニートという言葉は彼らを単に侮蔑するだけでなく、パート労働者をも含めたサラリーマン以外の労働者を差別(=非難)するような用語に見えてならない。あたかも不況を作り出したのが彼らの責任だと言わんばかりである。実際は、腹黒な政治家や官僚、架空残業(サービス残業と全く対照的だ)をつける公務員、間抜けな経営者(もうその謝る禿げ頭は見たくない)がもたらしたものなのに弱者を苛める責任転嫁である。私の見るところ、もし定義通りのニートが存在するとすればそれは就業意欲の有無以前に単なる臆病者であり、またそうさせた原因は前出の人たちにあり、ニート自身は社会に直接的な害はない。
 三国志の時代、陰士、高士と呼ばれる人々が中国にはいた。かの諸葛孔明もその一人である。晴耕雨読し、時来らば起つ。そういう人たちは明治~大正時代の日本にも書生という名で見られる。人間はすぐ眼前の状態にだけとらわれがちだが、「閑に居て動を観、無事に居て変に備える」(吉川英治「三国志」より)のも大切なことだ。動乱の時代、敢えて隠棲生活を行ない、悠々時を待つ。そういう階層は時に国を動かし、歴史を動かす。「自分探し」などと揶揄されるが敵を知り己を知るのは兵法の第一歩である。生活に困らないのに誰だって働きたくたくはない。家でぐーたら寝ていたいのは同じである。人は皆怠け者であり、だからこの世に自動洗濯機は存在するのである。
怠け心は人間のごく自然な衝動である。問題はそれらをニートと称し、引きこもり=病的なイメージのみならず、犯罪者=害悪とし、外国人就労者に対する犯罪者扱いと同じように扱う側(マスコミと国家)にある。
 ニートは存在しない。それは支配者側が、被支配者側を管理しやすいよう、新に作り出した造語である。端的に言えば、不況で企業が雇用を控えリストラや過剰労働による退職からパートが増え、税金や年金を徴収しにくくなったが、献金や天下りで世話になっている企業側には何も言えないので、フリーターに代わる新たなマイナスイメージの用語を作り、”マニフェスト”などカタカナに弱いフリーターの親世代へも訴えかけることで、敢えて過酷な労働環境へと戻らせ、確実に税金、年金を納めさせるため(自分たちはきちんと収めてない癖に)に作り出された階層が”ニート”であろう。 

三国志〈4〉

三国志〈4〉

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/04
  • メディア: 文庫


「うつ」をやめれば、楽になる―やっかいな心の荷物をおろしなさい

「うつ」をやめれば、楽になる―やっかいな心の荷物をおろしなさい

  • 作者: フランク ミナース, ポール メイヤー
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2002/09
  • メディア: 単行本



この記事は、下記の本にパクられました(爆)。

「ニート」って言うな!

「ニート」って言うな!

  • 作者: 本田 由紀, 内藤 朝雄, 後藤 和智
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/01/17
  • メディア: 新書


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
- | 次の10件 社会風景 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。