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ささやかな望み [政治/国際問題]

田母神俊雄前航空幕僚長への参考人質疑を聞いて思ったことは、歴史即ち過去について何が正しくて何が間違っているか、そんなことはこの際どうでもいい!ということだ。大切なことは未来、即ち子供達の未来である。

確かなことは、やっぱり戦争はすぐそこまで来ているということだ。いや、もう世界の様々な戦争に日本は加担しているし、今更、憲法改正など既成事実を認めるに過ぎない。
それでも人々は日本だけが、世界の騒乱の外に常にあって、戦争が起きても自分だけは無関係で居られると本当に思っているのだろうか?まるで世界の終わりが来ても自分だけが生き残っているSF映画の様に。

何が正しいか正しくないかと言えば、田母神氏の様な考えが唯一正しいという歴史観が、直ぐに強制力を持ってこの社会を覆う日が、もうそこまで来ている。正しい歴史観などというものは時の政権が作るもので、唯一無二の歴史観なぞありはしない。確かなことは、戦争になれば、信じられないくらいたくさんの人の命が、本当にあっという間に奪われてしまうということ、そして日本は過去にその道を歩んだという史実だけは消せないということだ。余りに多くの人が犠牲になった。彼等はそれもなかったことにするのだろうか?

田母神氏という上司の呼びかけに応じて90人以上の自衛隊員が懸賞論文に応じている。彼は多くの若手隊員たちに持論に基づいた歴史教育を行っていたという。こういう人間を、今、国政の世界へ入れたら日本はあっという間に軍国主義へ走ってしまうと思う。なぜなら大不況は、個人(特に若者)や経済への自信を喪失させ、国家権力への精神的依存を著しく加速させるものであることは、戦前の大恐慌後の世界史が証明しているからだ。
しかし残念ながら既に田母神氏の意見に公然と賛同する現職の議員が自民党内には大勢いる。

この国は”言論の自由”だから何を言っても私は構わないと思うし、歴史観に様々な考え方はあって当然だと思うが、それが権力や武力に裏打ちされたものであっては絶対にならない。せめて彼らには権力から離れた場所でお好きなことを言って頂きたいと望む。

 


自分にとって都合良い証拠だけを並べ立てた田母神氏の論文は、私的には「アポロは月に行っていない」とか「義経はチンギスハーン」とかと同レベルなんですが、本人達は至って真面目に日本の歴史観をそう変えたいと願っています。しかも彼等が自衛隊だったり国会議員だったりするので笑い話で済まされません。彼等は我々の血税を使って今日もせっせと布教活動に励んでいることでしょう。しかもその歴史を教える筈の教科書にまで入り込んでいるので始末に負えません。旧石器ねつ造事件の様に教科書も時に嘘をつきます。結局、良き歴史観を養うには個人の善性に委ねるしかないのでは。我々がどんな良識を持って何を選択するか、その一挙手一投足に子供たちの平和な未来がかかっていると思います。


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nexus_6

何をどう思うかは自由ですが、今回のような影響力のある立場では「飲み屋でおやじ相手に好き勝手なことを言う」のとは訳が違いますね。田母神氏の活動は公私混同も甚だしいです。

子供達は大人を見て育つ、そう思うと気をつけるべきことが何であるかは自ずと見えてきますね。
by nexus_6 (2008-11-16 23:09) 

はなれざる

nexus_6さん、nice!、コメントありがとうございます!
全くです。こういう役職にある人が、極端に偏った考えを持って若者を教育すると本当に恐ろしいです。
しかも論文では、敵は世界的に暗躍するコミュニスト(笑、スパイ映画?)で、米国とは親子関係が望ましいという米国には擦り寄る情けない内容。これでは原爆で亡くなった方も浮かばれないと思います。
歴史に"もし"は有り得ませんから、"もし日本が戦争を起さなかったら"的な前提は破綻していると思います。
by はなれざる (2008-11-17 01:17) 

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