ディープな郷愁「蟲師」 [映画/DVD感想]
非常に原作に忠実なアニメである。
主題歌に英語の歌を持ってくるところは面白い。不思議とよく合っている。
特に音がいいですね。虫の音、風の音、鈴の音、それらに邪魔にならない効果音が心地良いです。
絵もすっきりしてるし、自然も美しい。人の眼がいいですね。吸い込まれるようで。
時代が不明。一見、江戸時代のようにも思えるが農家や漁村なら昭和初期でもイケるかも・・。
ギンコ一人が現代風(ポロシャツ?ゴルフに行く様な格好)なので、周囲の人が怪しまないのが不思議。周りから完全に浮いた存在。まるで現代からタイムスリップした人のよう。読者と漫画の時代を繋ぐ案内人。だからギンコは、当然主人公ではなく、製作側もいかに主人公らしさを消すか苦労したそうで、その結果、放映時に主人公は誰という問い合わせがあったらしいので、その点は製作者の意図が見事に反映されていると言えよう。主人公が見えにくいというのは昔だったらアニメにしにくかったんだろうなぁ。でも今は深夜に大人向けアニメをやってる時代だから、あの「墓場鬼太郎」だってそのまんまアニメ化されてる時代だからなあ。あんなの昔だったら絶対完全懲悪ものに変わってますよね。 ただ蟲師はもっと冒険しても良かったかなとも思う。光線技出せとは言わないまでも。まあこれはこれで好きですが・・・。夜中の雰囲気に合ってるかも。怖くて眠れなくなりそうですが。
「蟲師」の世界には村や町はあるが、国とか県とか藩とか政府といった行政機関が出てこない。支配者がいない。年貢とか税金の類もない。関所もない。人々は生活のためだけに働いている。それが自由にギンコが旅をできる条件。そういう意味ではクニが生まれる以前の古代のような雰囲気もある。現代は何かと制約が多いからギンコの様に自由に旅ができたらいいですね。本来、行政機関なんて人間が生きていく不要なものですよ。きっと。見終わったら絶対旅に出たくなります。
でもギンコが背負ってる箱って絶対、肩こるっていうか、骨とかに当たって痛そう・・・。着替とかどこに入ってるんですかね?不思議。
先日、民俗学を専攻した人に話しを聞いたら、やっぱり民俗学好きの人たちの間では絶対蟲師は話題になるのだとか。
古き良き日本(いいとこ取りですが)に、私も含め皆帰りたいのだと思います。もう温泉ぐらいじゃ癒されません。
墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))
- 作者: 水木 しげる
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
そうですね。『蟲師』には村長さんとか庄屋さんとか出てくるけど、年貢とか税金とかはぜんぜん出てきませんね。お金はいちおう使ってるらしいけど。『蟲師』の描く「古き良き日本」はムーミン谷のような夢の世界なんでしょうか。
by いぬ (2008-06-26 22:27)
コメントありがとうございます。返事が大変遅くなって申し訳ありません。イメージは全然、違うんですが、寅さんに共通するものがあります。社会の枠から外れてても皆の役に立っている風来坊という点で。そういえば寅さんの鞄も箱みたいな形で重くて脛とかぶつけると痛そうな感じでした(笑)
by はなれざる (2008-07-27 18:53)