賽の神(セエノカミ):2009年どんど焼き [民俗]
多摩川の土手から観た、着火前の「賽の神」
セエノカミは、以前は狛江の小正月の行事として盛んに行われていたが、昭和の始め頃、世田谷区の宇奈根で火事による子供の死亡事故が起きてから行われなくなった。
セエノカミ(賽の神、サイノカミ、サエノカミ、サイト焼き、左義長):新暦又は旧暦の1/11~13日頃から子供達が、部落毎の辻に、年末の煤払いの孟宗竹を心柱に正月の松飾,神札,だいこんじめ等と藁で円錐状の小屋を作り(岩戸地区は作らない)先端に達磨(元は赤い装束。厄除け)を吊るす。猪方地区は小屋の近くに縄を張り通行人にお神酒銭をねだった。小屋の内部に炉を作り餅を焼いて一晩明かし、14日朝に小屋を焼く。小屋に泊まる行為はケガレを取り除く忌み籠りを示し、小屋から子供が出てくることで再生(誕生)を表す。また子供は節分の鬼同様、年の変わり目に出現する異型者(農耕神)と解される。
① ドウロクジン(岩戸地区:とうじん棒):小屋のご神体。直径23.4cmの石臼状の丸石や五輪塔の一部など様々で、岩戸地区では、男根の形をした石だった。これを小屋の炉に入れて焼いたり、サイノカミ終了後に子供が土中に埋めて隠す。岩戸地区ではサイノカミを焼いた火の中にくべた。また石は、部落間で盗り合いをし、他の部落の石を盗むとその部落は良いことがあると言われた。岩戸地区では、小屋を燃やした灰の中から競って石を探し出して取り合った。これらは性的豊饒を祈願している。
② サイノカミの火や灰に関する以下の言い伝えは害虫駆除の鎮送呪術が込められている。
・サイノカミの残り火で餅やマユダマなどの団子を焼いて食べると無病息災やマムシ除けになる。
・サイノカミを燃やす火にあたると無病息災になる。
・サイノカミを燃やした灰を畑に蒔くと害虫が付かない。
・サイノカミの燃えさしの竹を流しの下に入れるとヤスデが湧かない。
・クワッパラエ(鍬払い):サイノカミの燃えさしの竹で鍬の泥を落とすと足を切らない。
③成木責め:サイノカミの燃えさしの竹で子供たちが「なるかならぬかならぬとぶった切るぞ」と唱えながら柿の木を叩く。これは豊饒を願う行為である。
昭和61年に狛江市ボーイスカウト・ガールスカウト連絡協議会が「どんど焼き」という名称で復活させた。しかし前日に保護者同伴で夜鍋会は行われるものの、昔の様に子供たちだけで小屋に泊まるということは行っていない。また、現在は小正月(以前の成人の日)が、必ずしも休日ではなくなったため、その近辺の日曜日(去年は1/13、今年は1/11)に行われている。
人々がどんどん正月の松飾などを持ち込んで積んでいく
入口
クレーンか恐竜の様な先端。達磨が吊るしてある。
小屋の中。かなり無理やり撮った。
もちろん許しは得ました。
祭壇(北)は入口(東)と違う方向に築かれる。
朝日に光輝く姿が神々しい。雲一つない快晴
伊豆美神社の神主さんが祈りを捧げる。
何かを蒔いている
ボーイスカウトの団員が松明を持つ
入口に投げ入れ
小屋の入口を閉める
しばらくは何も変化がないが・・・
突然、炎が吹き出る。
瞬く間に先端へと炎が駆け上がる
時折、西風が吹いて、紅蓮の炎が揺れる
まるで火の鳥のよう
先端が倒れた瞬間、体も倒してしまった(笑)
ぽっきりと折れた賽の神。中心に青い炎が
燃え尽きていく
ボーイスカウトが団子やウインナーを竹に付けて焼く
土手の上から観た燃え尽きた賽の神
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