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すいません、理解遅くて・・・「夕凪の街 桜の国」 [書籍/漫画感想]

夕凪の街桜の国

夕凪の街桜の国

  • 作者: こうの 史代
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本


 この本は、2部構成になっていて、時代を経て親子関係で登場人物がつながっているのですが、
3回ぐらい読んで、やっと誰が誰の親とか息子とか人間の相関図がわかりました(爆)。
 また、セリフの吹き出し位置が変なので、誰がどのセリフを喋っているのか大変わかりにくく、やっぱり3回ぐらい読んでから理解しました(爆)。会話が飛んでいて脈絡がない点が逆にリアルで漫画っぽくない(作られていない)と思います。

 「夕凪の街」の橋のシーンは怖いですよね。死んでる人がヒトガタの土偶か埴輪みたいで、絵があっさりしているだけに余計、恐怖シーンを煽ります。後半の空白も怖いですね。主人公の目から見た風景が真っ白っていうのは。実際は真っ黒なんでしょうが・・・・・。

 「桜の国」では散歩に出たまま、黙って広島へ行ってしまうお父さんは完全に”失踪”ですね(爆)。理由を言わない原因がいまいち飲み込めません。やってることは恥ずかしいことではないのにね。吐いた後、女性2人でラブホに入る七波ちゃんと東子ちゃんも不可解ですねぇ。それにしても太田京花さんと石川旭さんは結構、年離れてないすか?大学生と小学生ぐらい?ロリコン?(爆)。でも12と18なら6つ違いでたいしたことないかー(爆)。

 ってな具合にこの漫画はとっても軽くて、爽やかで、ユーモラスなんです。扱っているテーマが「被爆者とその子孫への差別」というとてつもなく重いものなので、釣り合いがとれているのです。

 後書きの「劣化ウラン弾とか考えると日本は”唯一の被爆国ではない」という文章は、ハっとさせられました。前回の記事でも”唯一の”という言葉は使ったばかりなので自分の中の思い込みは正さなければなりませんね。
 あと全編に通じる「生きていて申し訳ない」の感情は以前、触れた「父と暮せば」にも全ストーリ上のテーマとして流れていて、決して僕らには理解できない広島の被爆者たちの通念なんだなあと感じました。
 同じ目にあっても死んだ人も居れば生き残った人もいて、しかもそれが戦後何十年も、現時点に至るまで苦しみが何世代も続いているなんて本当に原爆は、放射能は恐ろしく許しがたい兵器です。以前、「赤い背中~原爆を背負い続けた60年」(NHKスペシャル)という番組を見た時にも感じましたが、太平洋戦争はもはや歴史の1ページで終わってしまえば人々の記憶の中では教科書の世界なのに、原爆はそうじゃない!今でも何の罪もない被爆者たちにとって戦争は、苦しみは続いていてそれを決して忘れてはならないと強く強く、思う。


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田舎もんの立身出世物語「プラネテス」 [書籍/漫画感想]

プラネテス (4)

プラネテス (4)

  • 作者: 幸村 誠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/02/23
  • メディア: コミック


 この漫画では、宇宙を最前線の変化の激しい都会=東京として描き、一方、地球を未来永劫変わらない場所である田舎=故郷として表している。その証拠に地球の風景に都会は殆ど出てこないし、携帯もパソコンもなくフィーもテレビ付きとはいえ公衆電話で話している。まるで発展が止まっているというか逆行している感じ。私は東京出身なので故郷=田舎というものを知らない。子供の頃の風景など一つも残っていない(T-T)。故に、常に変わらない場所としての故郷を実感・共感できないし、辛くなったら都合よく逃げ込めるふるさとという存在を羨ましく思う。言わば、この物語は、地方から一旗上げに都会にやって来て、高速車(ロケット)で湾岸(宇宙)あたりをすっ飛ばして、生活に疲れたらたまの休みに帰省したりする東京ではごく一般的な青年の青春成り上がり物語だ。田舎に住む子どもたちはこの余りに変わらない状況を疎ましく思い、盗んだバイクで走り出したり(爆)するらしいが、変化の常態化に戸惑い疲れた都会人は田舎暮らしを夢見て自転車やローカル線を好んで乗ったりする。
 それにしてもここで出てくる故郷は余りにレトロ、まるで1970年代だ。ちゃぶ台やコタツで摂る夕食、エプロンをして家事の全てを切り盛りして浮気もせず待つ女を演じるしっかりかあちゃん風専業主婦(絶滅危惧種指定)、そんな妻に全てを支配させてる振りして実は全てを奪っている夫(今ならぜってい熟年離婚)、友達親子と放任主義(団塊の世代だな。親子断絶世代の私からすると父と息子が対等で仲が良いのは気持ち悪い)、何時も青空(泳げる海がほとんどないほど環境汚染が進んでいるのに?)、縁側で塩をかけて食うスイカ、などなどドラエモン&サザエさん&まるちゃん張りのノスタルジイ満載なのだ。全く2070年代という設定を無視したこの環境はもはやあっぱれという他はない。何しろまだ煙草を吸ってる奴がいる!この月面基地の環境は今の東京そのものだ。そしてテロリストはなぜかハンフリー・ボガートだ(^-^)/
 通常、普段ぴったり一緒に仕事していると、プライベートまで一緒に過ごしたくはない(漫才コンビやアイドルグループがいい例)。しかし、このデブリ拾い達はプライベートでも仲が良いのが解せない。そして展開が早っ。たまたま都合よく後任で入った(今時の会社は、一人分の給料が増えるので引継ぎなんてしないぞ。)女の子とSEXシーンもなしに結婚してしまう。タナベは何もかも愛してるならハチマキ以外の人でも良かったんじゃないか?。また別の人とくっついちゃうんじゃないか?こういう漫画は女性に受けるだろうが、男性にはちと色気がない(^-^)/。大体、ユーリの奥さんもタナベもフィーも男みたいだ。さすが宇宙と地球の境目がないというテーマから男と女の境目も宇宙においては存在しないと言わんばかりだ。赤の他人に裸で接するサリーも、それに対して眠っちゃうハチマキもありえね~(?_?)。
 戦艦にもロボットにも宇宙人にも飽きた昨今、ロハスブームで宇宙のゴミ拾い屋という着眼点は良いが、宇宙を憂う前に地球を憂え!とつい言いたくなる。テロの目的も薄い。今時のテロとは生存をかけたギリギリの選択であり、グリーンピース張りの環境問題で起こすテロは80年代の遺物だ。なんとなくティターンズとエウォーゴの戦いをパクっているようにも見えるが。悪人がいない。テロリスト側も支配者もみな善人ばかりだ。
 「サキノハカという黒い花」で撃とうするハチマキにハキムが放つセリフ(修羅に堕ちるとか宇宙の破壊者とか)はスターウォーズのダークサイドへのオマージュだろう(爆)。
 結婚の報告をしたハチマキとタナベが散歩に出かけた際、かーちゃんが歌っている曲がなぜかRCサクセションの「夜の散歩をしないかね」。ファンとしてこれは気に入った(^-^)/。
 私は犬が大嫌いだ。従って犬を拾って来て家の中で飼うという行為は信じられない(猫は好きだから許す(爆))。絶対、「うるさい」と文句を言う側に回る。大体彼らが共和国のテロリストと同様の悪の象徴にされているのが納得がいかない。どう見てもアルバートとフィーの方が間違っているだろう。大体、母親を蹴るアルバートはどう見ても優しい子とは言えない。犬を大事にする前に隣人を大事にしろ!フィーは子どもがいるくせにタバコ吸うなって。大体、半年吸わないですめばやめられるって!おまけにバイクに子供乗っけて暴走だ?事故ったらどうする?かっこ良ければなんでもありなのが許せん!夫も夫だ。普段家事をやってる専業主夫のくせにすぐ仕事にも復帰できるとは恵まれた環境だ。フィーがこの夫のどこに惹かれたのか皆目見当がつかない。
 私は野球が大嫌いだ。子供の頃から野球で遊んだことがない。昔、職場で強制的に草野球チームに入れられたことがあってくそ暑いグランドでド恥ずかしいユニフォーム着せられて本当に嫌で堪らなかった。「赤い星、白いタマ」で一人ぐらい野球をすることに異を唱える奴がいてもいいと思うが。まるで野球を嫌いな人(犬の嫌いな人も)などこの世に存在しないと言わんばかりだ。
 この時代の主要エネルギーは核融合らしいが、コストとエネルギー効率から燃料電池にすら手を焼いている様ではそれは百年経っても実現不可能だ(^-^)/。
 この漫画にはスペースシャトル型のロケットが宇宙間を往復しているようだが1986年のチャレンジャーと2003年のコロンビアの事故で再使用可能な宇宙船の開発は完全な失敗に終わったことをNASAも認めている。国際宇宙ステーションの開発も暗雲に乗り上げ、現在は使い捨てロケットとパラシュート着陸が、一番有効且つ実用的な手段だ。
 木星に着いたハチマキが叫ぶ「さよならジュピター」映画館に観に行ったさ。映画は酷い(三浦智和が全裸で宇宙を飛ぶぞ(爆))が、原作は本当に良かった・・・。でも「2001年宇宙の旅」の完全なパクリだが(-_-;。
 人間が宇宙の一部ということを宇宙に行かないと気付けないとはハチマキも鈍い。人間の体内成分は超新星爆発によって恒星内の核が宇宙に散らばったことによって成り立っているのだ。
 何はともあれ突っ込みどころ満載の飽きさせない展開だ。

さよならジュピター〈上〉

さよならジュピター〈上〉

  • 作者: 小松 左京
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 文庫

緊迫感溢れた傑作



さよならジュピター デラックス版

さよならジュピター デラックス版

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2003/03/21
  • メディア: DVD

セット(というか模型)が余りに情けない。10億何に使ったんだか。



シングルマン

シングルマン

  • アーティスト: RCサクセション
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/09/01
  • メディア: CD

「夜の散歩をしないかね」他名曲が目白押し。聞け!



カサブランカ

カサブランカ

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2005/01/10
  • メディア: DVD

言うまでもなくボガートの傑作。偶然にも本日NHK衛星で放送


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デリケートな問題にしないで [書籍/漫画感想]

放送禁止歌

放送禁止歌

  • 作者: デーブ スペクター, 森 達也
  • 出版社/メーカー: 解放出版社
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


 図書館でこの本を見つけた時は、正直言ってHな歌詞をネタにした軽い内容の本だと思ったが、さにあらず!なんと被差別部落問題を真面目に論じた本でした。もちろんHな内容(ピンクレディーの「SOS」放送禁止は完全にやり過ぎだろう)や、天皇、障害者について触れた為に放送禁止になっている曲の話も載っているが、正直、私は、「若者の労働意欲を奪う」という理由で放送禁止になった「ボスしけてるぜ」などいくつかの放送禁止やレコ倫に触れた曲を歌った忌野清志郎をよく聞くために、多少放送禁止歌について知っているつもりだったが、とんでもない!「竹田の子守唄」が被差別部落問題で放送禁止歌になっていたなんて全然知らなかった(なにしろ歌ってる本人たちも知らなかったぐらいだから)。全く無知は罪だよね。
 僕ら、関東の人間は、学校で被差別部落問題について教わることはほとんどない。「江戸時代に士農工商の下に”えた・非人”と呼ばれる人たちがいました」、ぐらいの知識でしかない。まさか、その差別問題が平成の世にまで続いているとは、本当に驚きだ。僕は、社会人になって、北九州に行き、初めて”同和”という言葉を知った。僕らの住んでるアパートのすぐ近くに山の上に”部落”があるから危ないから行くな、と言われていた。やや趣が異なるが、山中の地図にない朝鮮人街に迷って入ってしまったことがあった。朝鮮語のノボリがはためき、店頭ではチョゴリが売られ、住民のこちらを見る冷ややかな目つきが今も忘れられない。自分の住んでいる所は”部落”で絶対来ては行けない、と明るくオープンに自分のことを話すお爺さんとも偶然知る機会があった。その方の家には電話がないそうで、ぼろぼろの服装のポケットにコンビニ袋のようなものにくしゃくしゃになった大金を入れていた。奇妙な体験だった。
 関西以西では極めて日常の問題なのだと思い知った。ごく当たり前なことだが、僕は、同じ人間同士を差別するなんて絶対反対だし、あってはならないことだと思う。差別側も被差別側ももっとオープンになって、いたずらにタブー視したり敵対視したり怖がったりせずに、差別のない世の中を目指し問題解決に向きあえればいいなと、この本を読んで改めて考えた。


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子供は純粋で生意気という偏見「プルートゥ」 [書籍/漫画感想]

PLUTO (2) ビッグコミックス

PLUTO (2) ビッグコミックス

  • 作者: 浦沢 直樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/04/26
  • メディア: コミック


 同僚からの強い推薦により借用。
 はっきり言って浦沢直樹は好きではないので自分からは進んで読まなかっただろう。彼の漫画は、いわゆる「ゴジラ手法」という引き伸ばし作戦だ。足跡だの目撃談だのばかりでなかなか本体を見せない。私は運悪く浦沢直樹は「YAWARA!」から入っているので背負い投げ一本で何週もかかる様な漫画は、気の短い私には我慢ならなかった。こういう手法はスポーツ漫画に多い。ストライク一本に何ヶ月とか、ボクシングのパンチ一発に何週間とか、サッカーのゴール1回に何ヶ月とか、バスケットのパス1回に何ヶ月とか、あーもういい加減にせい!!!という感じである。「20世紀少年」なんて一体どこまで引き伸ばせば気がすむんだ!だから私はRPGも推理小説もプラモデルも大嫌いである(爆)。要はこらえ性がないんでんな。
 が、しかし、今回もその引き伸ばし作戦は、最後のウランあたりでやばい気がするが、一応やり過ぎではなく、テンポが良かった。しかし彼特有の絵のヘタウマ、絵に懲りすぎずセリフで勝負する手法が、彼の絵を常に変わらないものにしているのは凄いが(普通はどんどん変わって別人になってしまうのに)、結果としてこの丸っこい画風が定着しているが私は好みではない。やっぱりロボットはカクカクしてないと×(爆)。おまけに人間的過ぎるって。あれじゃサイボーグかアンドロイドじゃないすか。ロボットの腕はやっばりジャバラでないと(爆)!。手は切れた輪っかみたいでないと(爆)!
などと馬鹿なことを言ってみたりするが、何一つ気に入らない浦沢ロボットの中で唯一気に入ったのは「ノース2号」!名前格好いい!すぐ戻る、と言って飛んで行くあたりが渋い。最後、スペースシャトルチャレンジャーを思わせる爆発で空に散りながら歌を唄って、しかもそれがおじいさんには見えていないのが渋い。ライダーマンみたいな風貌も渋い。いやあ、もう主人公はゲジヒトなんかにしないでノース2号にしろよ。戦闘ロボットでありながら料理も作って、園芸もやって、ピアノも弾いちゃうんだから万能でしょう。
 浦沢直樹の漫画でもう一つ気に入らないのは、子供が純粋かつ生意気という、大人の視点から見ている子供の理想像として描かれているところである。子供は純粋ではない。時に残酷である。カタツムリなど殺してしまうのが子供である。そうやって生命の尊さや死を子供のうちに学んでおかないから、大きくなって、母親毒殺なんてことをしてしまうのである。
 子供が生意気であることを嫌悪しつつ良しとするのも大人の偏見である。最近、子供に妙に敬語を使う礼儀正しい小学生が増えてなんだか気持ちが悪い。あれは親がやらせているんであるが、小学生のうちから気くばりをさせるようなことは、小学生のダイエットと同じぐらい馬鹿げてるので是非やめて欲しい。私の知り合いの小学生は小さいうちから私ごときに敬語を使い、タメ口をたたくとその親が怒っていたが、私は構わず、私には敬語は使わないようにさせた。小学生が意味もわからず、本当に敬っているわけでもないのに敬語なんか使われると鳥肌が立ってしまう。先日も、電車の中で、「塾で「うん」という小学生がいて生意気だから「はい」に直させた」とある女性が言っていたが、ぞっとする。お前知っているか?俺はある官公庁でバイトしてた時に職員が客からの電話の応対時によく「うん」って言ってんだぞ!俺は愕然としたよ。電話の応対の仕方もろくに出来ない大人が、子供には敬語つかえだなんてほんと馬鹿げているよ。子供は馬鹿!、子供は残酷!、大人は賢く、大人は良識!でいいのだ!子供なんて鼻たれてガビガビの袖でいいのだ。人形(ロボット)みたいに綺麗なブランド服着せて自分のペット(犬以下)みたいに深夜でも連れ歩いて、染み一つ付けたら怒るなんて全く馬鹿げている。子供は親の所有物でない、子供には子供の人権があるのだ。
 ロボットに心があるかという問題は手塚治虫以降も多くのSFが手がけてきたテーマだ。「ブレードランナー」「ターミネーター2」「2001年宇宙の旅」など列挙に暇がない。しかし近未来SFを描くのは最近勇気がいる。あまりに進化の速度が速いために、部分的に現実が空想を超えてしまうからだ(いい失敗例が「マトリックスリローデット」だ)。幸いロボット分野はまだ進歩が遅いが、当漫画や「地球へ!」にも出てくる、うなりをあげる巨大コンピューターという発想はもう完全に過去の遺物となってしまった。
 そういう正統派SFが描きにくい時代に敢えて挑戦した浦沢氏にエールを送るとともに、お願い。
「引き伸ばしは、ホドホドにね!」 

鉄腕アトム 地上最大のロボット

鉄腕アトム 地上最大のロボット

  • 作者: 手塚 治虫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: ムック


課長バカ一代―子供用

課長バカ一代―子供用

  • 作者: 野中 英次
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: コミック


これに出てくるボブというロボットが最高です。やっぱロボットはああでないと(爆)。このロボットも心が芽生えて悩んでいました(爆)


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最近触れたもんまとめて [書籍/漫画感想]

今更過ぎて語れない、最近見たもの、読んだもん。




攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 1

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 1

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2002/12/21
  • メディア: DVD


近所のゲオで。いっつも夜中にやってるし、最近レンタル屋に行くのも面倒くさくてきちんと見てなかった(言い訳)。やっぱ、いいですねえ(爆)。映画よりも良いです。




群青の夜の羽毛布

群青の夜の羽毛布

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 文庫


駅の古本コーナーで立ち読みの末購入(爆)。映画化されたせいかなぜかこれだけ読み逃してましたね。僕は「恋愛中毒」よりこっちの方が共感できます。ただ終わり方はもう一ひねり救いが欲しいところです。




ライ麦畑でつかまえて

ライ麦畑でつかまえて

  • 作者: J.D.サリンジャー, 野崎 孝
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 新書


やはり駅の古本コーナーで。「フィールド・オブ・ドーリムス」のテレンスマンのモデルで、アメリカ文学の教科書みたいなもんですが、読んでなかったんです(恥)。名作ってつい敬遠しちゃうんですよね。





ヴィジュアル版 裸のサル

ヴィジュアル版 裸のサル

  • 作者: デズモンド モリス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1988/06
  • メディア: 単行本


地元の図書館で。こういうテーマは猿の私は当然、大好きです。でもでかい(爆)。ほとんど図鑑です。持ち歩けません。
テレビをつけたら丁度、日本のボス猿がなんか吠えてます(爆)。


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内容とは裏腹の軽い読み物 「告白」 [書籍/漫画感想]

告白

告白

  • 作者: チャールズ・R・ジェンキンス
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/10/08
  • メディア: 単行本


何か非常にあっさりとした文章だ。自分の行動を美化しているからなのか。北朝鮮に残された人々を気遣ってか、はたまたアメリカに対し罪を負っているせいなのか、ひそかに手引きしたと言われる日本国内の朝鮮人を恐れているのか。とにかく肝心なことは何も突っ込んで書かれていない、そんな文体だ。しかし、手足を縛られて書いているに等しい彼の現在の状態を考えると止む終えないことであろう。少なくともこの本に目新しい発見は特にないし、驚きもない。ほとんど周知の事実であり、またそうでなければならないのだ。なぜなら本当の秘密が、隠すべき内容がこの様な一般本から明るみに出ることなど有り得ないからだ。従ってこの本はほとんど何も述べていない。北朝鮮に対し非難はしていても、激しい恫喝という感じではなく淡々としているし、日本へのお礼もアメリカへの謝罪も型どおりのものだ。唯一、攻撃できる相手として同じ境遇の脱走兵を選び、激しい攻撃を浴びせ自分は彼らとは全く異なっている心境を繰り返し表現しているが、これとて米軍に対する恐れから来る侘びに過ぎない。もちろん彼らには彼らの理由や言い訳があり、彼らのみが北朝鮮の犬に成り下がり、自分は違うなどという弁論が、本人達の抗弁もなしに一方的に語られるのは、実に脱走兵とその家族たちにとって気の毒なことだ。しかし、本を面白くするには誰かを敵にしなければならない。実際、非難できる人たちはドレスノクとパリッシュしかいないのだ。
 私は、この本をもともと期待して買ったわけではない。ニュース23で筑紫哲也が、「この本がジェンキンス氏の自立の第一歩になる」と語ったからだ。現在、ジェンキンス氏一家の家計は曽我ひとみさんのわずかな収入に支えられている。ジェンキンス氏は自らの意思で北朝鮮に行ったが曽我ひとみさんは誘拐されて北朝鮮に入れられ、想像を絶する苦悩を味わった。にも係らず、曽我ひとみさんはなんと感性豊かで、強靭な精神力で、家族愛に満ち溢れ、偉大な母であり、妻であり、そして時にアメリカ人であり、日本人であることか。彼女の書く文章、出すコメント全てが、彼女の持つ類まれなき才能に満ち溢れている。残念ながら彼女の天性を存分に生かす政治的状況がまだ整っていないのは確かであり、帰国できても完全に自由にはなれない、母親の安否など気遣う立場にいることは誠に悲しむべき現実だ。いずれ曽我ひとみさんの素晴らしい著書が世に出る(テーマは別に北朝鮮に限らなくてもよいと思う。そして文章表現を曽我ひとみさんも望んでいる様に思うのだが)ことを願いつつ、今はこの本を私を含む多く人が購入することで、ほんの僅かでも曽我ひとみさんの一家の収入の足しになり、引いては曽我ひとみさんの幸福に繋がることを願って止まない。
http://www.tbs.co.jp/news23/


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どこまでやれるのか「8」 どうなっているのか上條淳士 [書籍/漫画感想]

8(エイト) 4

8(エイト) 4

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/08/30
  • メディア: 単行本

 
スピリッツでの「カウンター」の最終回の絵は本当に酷かった。それでもとりあえず、終わらせたことに敬意を表そう、と思ったら、なんと単行本のページの埋め合わせだったとは!がっかり・・・・。

 「8」は本当によく中断した。一体いつ掲載されるかわからないという蜃気楼のような漫画だった。
それでも許される上條はもはや伝説化した、漫画界の仙人みたいだ。次回の掲載予告など全く嘘。最初の頃はいそいそとスピリッツを買っていた(買わないと「SEX」のように単行本が何年後に出るかも怪しいので)私も、もう騙されないぞ!と思い買わなくなってなってしまった。

 とりあえず4巻は出た。これは奇跡だ。「SEX」の単行本化といい、今年は上條に何か起きたらしい。さすがにまずいと思ったのか?しかもスターウォーズじゃないが、”これで終わりじゃないぞ”
という様な意味合いを後書きで滲ませている。また期待させるのか?いい加減にしろ!

 キャラクター設定が大体酷い。「TO-Y」のパクリ。ニヤはニカだもんなあ。九藤俊作も「探偵物語」
パクリだし(全く松田優作に呪われるで~)。「カウンター」で九藤区長が指を構えて銃の真似をして銃を持っている方が逆に撃たれるシーンは、「スワロウテイル」での江口洋介のパクリだし。
 
  この漫画あんまり長いことノビノビになってしまったおかげで日本も渋谷も東京もすっかり変わってしまった。先日見た日経新聞の記事に東急が「109」をチェーン店化し全国展開するとか。そうなると、もう”~銀座”と変わらんなあ。VAIOもまんが喫茶もスケボーもスタバも過去のものだ。斬新さがない。街には老人とホームレスが溢れ渋谷にはかつての活気はない。、売れるのは”大人(老人)のタウン誌”、メールも打てない簡単な携帯、100円ショップ。路上の座り込む若者もストリートを気取るより、ただ疲れているだけって感じ。上條の漫画は生活臭さを排除すること。しかし渋谷は大型の電機店が並び、すっかり生活臭くなってしまったなあ。秋葉原を舞台にした萌え系の設定の方が今風なんだろう?「カウンター」の最後にもナナコがよろしくねー、と「電車男」風チャネラーに呼びかけるシーンが最終回にあるが、渋谷文化の終焉、あとは萌え系よろしくねーと終結宣言を出しているように見える。初日でオーバーランしようと”つくばエクスプレス”は開業し、ますますストリートは若者の居場所ではなくなり、私的世界の部屋から出ないオタクが増殖ていくだろう。そういえばフライデーよると六本木ヒルズもゴーストタウン化しているようだ。確かにあそこはひと気がないよな、ガラーンとしてて無駄な空間が多くて。あんな高い商品、今時誰か買うかってーの。

 13ナイトのオーナーを作者にまんまと乗せられて考えてみたい。
かつてのオーナーである九藤区長は「カウンター」で現在オーナーでないことを告白した。”エイトの身近にいる人物”なら宇多中の生徒に間違いない。消去法で行けば、ニカはキャラクター的に問題外。ケイゴは、本気で13ナイトを調べ潰そうとしたので問題外。シンは、やはりキャラ違う天然なのでオーナーではないだろう。トラもバカなので問題外(爆)。金子は親が金持ちというあたりで怪しいが、13ナイトで出てしまっているし(オーナーが準優勝はマズイだろう)、言動からなんか違う気がする。そうすると残りナナコとエイト=マサトだが。私は最初、マサトが怪しいと思った。なんたってピアノマン張り(嘘だったが)の記憶喪失(記憶喪失ネタも「SEX」のバクリだ)だし、何やっても覚えてない、病気だで許される。なんか蛍原もマサトを病院にかくまってたみたいだし、蛍原とマサトが組んで裏でやって邪魔になったマサトを襲って記憶を消した?という筋書きも可能だ(単純すぎるか)。第二に怪しいのはやっぱりナナコだ。全て知りながら黙っているナナコ。昔は全然違っていたナナコ。
アラン御国やDJ.BABAなど財界や裏社会にも通じてそうなナナコ。しかも武道に精通しているらしいナナコ。何か隠れたフィクサーの臭いがするではないか(爆)

 とにかく私が生きているうち4巻が出て良かった。そしてもう上條には絶対期待しないぞっ
 

スワロウテイル

スワロウテイル

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/03/02
  • メディア: DVD


探偵物語 VOL.1

探偵物語 VOL.1

  • 出版社/メーカー: 東映
  • 発売日: 2005/11/21
  • メディア: DVD


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「半島を出よ」 −英雄的行為の美化− [書籍/漫画感想]

村上龍 「半島を出よ」

半島を出よ (下)

半島を出よ (下)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: 単行本


 ヤドクガエルの位置づけが良くわからない。話の筋からいくと悪魔教の若者たちの象徴だと思うが、表紙を見ると、福岡に上陸する高麗遠征軍にも見える。どっちだ。
 いやー長い!疲れた。上巻は要らない。下巻だけで良い。上巻は例によって村上龍、独特の「タナトス」張りどろどろぐちゃぐちゃな世界。読んでて気持ちが悪くなるし、展開が遅いから飽きる。しかもニュースステーションで古館の馬鹿がペラペラ筋を喋ってしまったのでますます読む気力が失せた。上巻は下巻の3倍の時間読むのにかかった。下巻は、悪魔教の若者が暴走族とともに走り出すシーンから一気に進んで面白い(この”溜めて一気に爆発手法”は「コインロッカーベイビーズ」に見られる)が、かなり早い段階で結末が見えてしまいエピローグが長くなるのが残念だ。
 村上龍は日本は1945年8月15日に無条件降伏しなければもっといい国になったというテーマに捕らわれている。「五分後の世界」がそれだが、今回も上巻P.342の横川の独白にその内容が現れている。
「66年前の八月に無条件降伏をせずに本土でも戦闘を続けた場合はどうだろうか。アメリカと旧ソ連と中国が侵攻してきて、結果的に分割統治されていたかもしれない。外国の軍隊による侵攻と占領は国家と国民にとって最悪の事態だ。そんな経験はないほうがいいに決まっている。だが経験が
ないと、実際にそれが起こったときに的確な対処ができない。」
 「五分後の世界」ではその逆、そうなった架空世界でP.134でマツザワ少尉のシュミレーションの言葉を借りて以下のように現実社会を批判している。
「最終的にアメリカに価値観の奴隷状態になるという予測が出ました。つまりアメリカ人が持つある理想的な生活の様式を取り入れて、そのこと自体を異常だと気付かないということ、文化的な危機感は限りなくゼロに近づいていく。政治的にはアメリカの顔色をうかがってアメリカが望むような政策をとるしかなくなる。アメリカ人が着ている服を着たがる、アメリカ人の好きな音楽を聞きたがる、ラジオから英語が流れて、街の看板もアルファベットばかりになり、人々は金色や赤に髪を染めて、意味もわからないのにアメリカの歌に合わせて踊る」
 「五分後の世界」でゲリラとして戦っている日本軍(アンダーグラウンド)が今回はそっくり北朝鮮(高麗遠征軍)になっている。そしてその秩序ある行動様式、目的意識、国家主義が賛美されている。その対極にある日本のホームレスの若者はあまりに醜く描かれている。しかも、そのホームレスの若者たちさえ最後には英雄的行為の自己犠牲を行って国家を救う(現時的には絶対にありえないが)。
 人生は、自分のものだ。国や会社や親や家族のものではない。真実は一つではないし、価値観は一人一人の顔が違うように、それぞれ違ってて当たり前だ。それを一つの価値観で塗り固めようとするのは大変、危険な行為であり許しがたい。村上龍のテーゼは当然受け入れられるものではない。元寇依頼、外敵侵入がないからという歴史認識も間違っていると思う。薩英戦争などもあった
幕末はかなり外敵侵入による危機感はあったと思うし、太平洋戦争は本土は空襲と原爆だけだから経験がないというのは極論だ。英雄的行為をしたものが国家に認められず隠居している様はベトナム帰還兵に対するランボーの怒りの様だ(爆)。戦争に結末を求めてはいけない。過去の戦争を正当化してはいけないし、戦争を美化しても必要悪とさえとしてもいけない。明らかに人殺しであり死んで花実が咲くものか。死んだら何も残らない。勲章をもらっても靖国神社に祭っても、それは生き残った者の自己満足でしかない。あの人は偉かったなあなんて余計なお世話である。死ぬ瞬間に何を思ったかなんてその人にしかわからないのである。それは美しい時間などではない。生きてこそ美しい瞬間に出会えるのだ。生きている様はみっともなくてもいいじゃないか!ねえ寅さん!
 本作品のレベル、編集や発売時期はかなり村上龍としても不満足なのではないかというのは、「書けるわけがないが書かないと始まらない」「中途半端な扱いができなくなった」「校生の困難さを知った」などのあとがきに伺える(しかしむしろこの雑然とした纏まり感の無さに潜む爆発的なエネルギーが村上龍らしいが)。「五分後の世界」のような「『コインロッカーベイビーズ』とは、明らかに違う方法で書かれたものだ。そういう意味で今までのすべての作品の中で、最高のものになった」という満足感はないようだし、私も「五分後の世界」の方がコンパクトに言いたいことがまとまっていると思う。その証拠にこの小説に主人公はいない。北朝鮮のコマンドを主人公にしたかったようだが、実際はそうなっていない。語り手がたくさんいて感情移入がしにくい。自分の言葉で語れなかった部分も多いに違いない。しかし、山田玲司「絶望に効く薬」3巻に村上龍が載らなかったように北朝鮮を語ることは日本では今タブーであり、その問題に敢えて挑戦したことが、この作品の一読の価値である。

五分後の世界

五分後の世界

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫

コインロッカー・ベイビーズ (下)

コインロッカー・ベイビーズ (下)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫


タナトス

タナトス

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/03/19
  • メディア: 文庫


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「ゼブラーマンと絶薬」−世界を救え!− [書籍/漫画感想]

山田玲司 「ゼブラーマン」「絶望に効く薬」

絶望に効くクスリ 4―ONE ON ONE (4)

絶望に効くクスリ 4―ONE ON ONE (4)

  • 作者: 山田 玲司
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/05/02
  • メディア: コミック


ゼブラーマン 5 (5)

ゼブラーマン 5 (5)

  • 作者: 宮藤 官九郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/03/30
  • メディア: コミック


 頑張れ、山田玲司。世界を救えるのは君しかいない。

 シュワちゃんとターミネーターのように俳優などで一度当り役にはまるとそのイメージから抜け出せなくなることがある。山田玲司は、長らく「Bバージン」のイメージを引きずったままそこから抜け出せない。ゼブラーマンの主人公、市川新市も住田秋の暴走&純キャラを引きずったままだ。
 山田玲司は、最近サッカーやサーフインや占いといった、おおよそ自分に似つかわしくないテーマに挑んだ挙句、自ら自滅していた。しかも、最近では呪術的思考による強迫性神経症のケがある。

 「呪術的思考とは、自分の考えがそのまま物事を引き起こす原因になると信じることである。幼児は、通常、呪術的な考え方をする。例えば五歳の子供が、まだ赤ん坊の自分の妹が死ねばいいと考える。それからその子は、本当に妹が死ぬのではないかと不安になる。妹が病気にでもかかると、自分の考えたことが原因で病気になったのだと思い、罪の意識にとらわれる。通常、我々は、こうした呪術的な思考に向かう傾向を卒業し、人間には考えるだけで外界の出来事を支配する力はない、と確信するようになる。しかし、何らかの形で不当な精神的外傷を受けた子供は、この呪術的思考の段階を抜け出せないことが多い。」(「平気でうそをつく人たち」より)

 あとがきで車のガラスに鳩がぶつかった話とか読んでると彼は、こうした呪術的思考に捕らわれている気がする。互いに無関係な事柄に意味を持たせ、思い込みを図っている。特に「一度も締め切りを守らなかったことはなかった」とか「魂の純度だけは死守」といった完璧主義は危険である。いい意味でのいい加減さ、ルーズさは大事で、それは自分を救うことになる。なぜなら人間は決して神にはなれないからである。戦後の日本は天皇という神を失い、且つオウムを代表とする新興宗教の犯罪により、神を信ずる行為が悪いこと、頭のおかしいこと、マニアックなこと、国家主義的なことなどと思われる傾向があった。昨今のイスラム教とテロの関係にしてもそうだ。しかし、元来、宗教はそうした不健全なものではなく、絶対者の手の内で自分が生かされていることに感謝し、不安・疑問・恐怖を全て委ねてしまう、人間が生きるために考え出した手段である。にも係らず日本人は、神が居なくなってしまったために自分自身を神とせざるをえなくなった。ユーミンもかつて「ルージュの伝言」で自分を信じる自身教であると書いているが、バブル崩壊で経済大国から普通の国以下に引きずり下ろされ自信喪失した日本人は、鬱で自殺するか、それでも金にすがって拝金主義になるしかなくなっている。山田先生が芸術の女神を信じるのはよいことだと思うが、それを思う余り、自分が神になってはいけない。人は決して完璧にはなれない。そんなものを目指しても挫折し、自信を喪失するだけである。疑問、憎み、裁き、復讐、そういったものは神に委ね、僕らはそういうものから解放されて行こう。どうせ人間は死ねばただの有機体だ。
この場合の神とは、別に八百万の神でも石でも木でも山でもご先祖様でもなんでもいい。神とは自分の斜め45度上方にいて、常に自分を見守っていてくれる達成できない夢や目標のようのなもである。達成できないことで自信喪失することはない。祭りは準備している最中が一番楽しい。達成できなければ一生追える。安易に夢を叶えないことである。
 「ゼブラーマン」は最後どんどん絵が汚くなった(真っ黒)。「マカロニほうれん荘」の末期のようである。終わり方も打ち切りではないようだが、かなり強引な終わり方である。その証拠に単行本は後ろが随分余ってしまい「絶薬」を載せたりして、両方を買った奴はかなり不満であろう。主人公も脇役もキャラが中途半端で共感できない。最後はみんなやたら良い人になってしまう。やたらと大団円の好きな山田先生だ。「Bバージン攻略本」が出てからヤバイなあと思ったが、芸術家が自分の過去を振り返り自我自賛するとろくなことにならない。RCサクションは自伝を書いて解散したし。「振り返るな振り返れば終わりこの世はそんなもの」(ユニコーン「スターな男」より)。「Bバージン」はもう終わったものとして振り返らない。でないとそれを越える作品は生まれない。 
 人間は決して純粋である必要はないし、神のごとく振舞ってはいけない。一人一人の顔が違うように真実は一つではない。人生に疲れたら好きなだけ休め!まして将来設計だの自信だのヤル気だのはことさら必要ない。そんなものは国家が個人を管理するために掲げるスローガンにすぎない。またぞろサラリーマンに増税が囁かれているが、それはサラリーマンが一番、国が個人情報を管理しやすいからである。みんな会社入ってサラリーマンになって知らないうちに税金や年金を給与天引きされて手取りしかみなくて、税制や社会保障に無関心になっていく。一端、サラリーマンを離れて確定申告とか国民年金の支払いを自ら行ってみると以下にそれがずさんでいい下限でわかりにくい(職員すら理解していない)ものであるかよく理解できる。そして国は我々個人を最も効率よく管理(支配)
するためにサラリーマンになれ、という。しかしそんな思惑とは裏腹に企業で終身雇用は崩れ、雇用年金は破綻し、契約社員に走る。考えてみたまえ、1年しかないとみな良く言うが、1年間雇用が保障されている契約社員といつリストラされるかわからない正社員、どっちが安定しているだろうか。人生は自分のものだ。会社のものでも親のものでも国のものでもない。60歳からやっと始まる人生なんてまっぴらだ。誰の犠牲にもならない。そして死後の世界も生まれ変りも存在しない。今日1日をせーいっぱい、不真面目に生きるだけでいい。
 「絶薬」はだんだん良くなって来ている(さかなクンが一番良かった。さかなクン、最高!本物より面白い。山田玲司から見たさかなクンはああ見えるんだな)。ここで「薬」という言葉を持ってきたところに彼の病が伺える。私も薬は良く飲むが、世間にはほとんど薬など飲んだことはないといって恐れをいだく人も多い。薬は病気を直すためだではなく、病気である自分を自覚し、自分とうまく付き合っていく為にある。人生に特攻薬などない。しかしセレブだの「お金で買えないものはない」など拝金主義へと走る親たちの世代を見ていると、人間は理想だけでは生きていけないがお金だけでも生きていけないんだよ、と叫びたくなる時がある。無論、先の戦争で全てを消失した彼らの耳には届かないが。彼らにとって貧乏は忌まわしい過去、無力感を呼ぶ罪悪なのだから。今でもB型虐めが消えないがインドはB型が一番多いから労働意欲がない、なんてついこの間まで本気で言われてたんだから!今のインドのソフトウェア産業の振興ぶりはどうよ!無知((=偏見)は罪である。今後も「絶薬」の基本姿勢が単なる環境問題を超えて、「お金が全てではない」「人生に保障などない、一寸先は闇」といったテーマへ除々に移行しつつ「では僕らは何をすべきか」という永遠の疑問に取り組んで行くことを期待する。でも別にもう漫画でなくてもいいような気がするが。

Bバージン 15 (15)

Bバージン 15 (15)

  • 作者: 山田 玲司
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: コミック


Bバージン完全攻略本

Bバージン完全攻略本

  • 作者: 上田 享矢
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: コミック


平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

  • 作者: M.スコット ペック
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本

ルージュの伝言

ルージュの伝言

  • 作者: 松任谷 由実
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫


マカロニほうれん荘 9 (9)

マカロニほうれん荘 9 (9)

  • 作者: 鴨川 つばめ
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 1980/02
  • メディア: 新書


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上條 「SEX」−今だからこそ輝く− [書籍/漫画感想]

上條淳士 「SEX」 3巻~7巻

Sex 7 (7)

Sex 7 (7)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/05/02
  • メディア: コミック


 スターウォーズ エピソード1が公開された時にも思ったが、人間生きてりゃいつか良いこともあるさと上條ファンはみんな思った筈だ(爆)。 「8」ものびのびになっている今、この単行本は永久に発売されないと思っていた。某HPに国立国会図書館に過去のヤングサンデーが全部あると聞いて本気でコピーしに行こうかとも思った(日本中にした人が一人ぐらいはいるんじゃないだろうか、その人はご愁傷様)。連載終了後13年、待ったかいがあった!生きてて良かった!
 しかし、なぜこんなに単行本化が遅れたのか。「赤×黒」や「8」が先に単行本化される中、ここまで遅れた理由として、単に絵の直しとかじゃなく、1.題名に問題がある(この題名を声を出して本屋に下さい、と言える人は相当勇気のある人だ),2.暴力団や米軍をテーマに扱っているため出版社に敬遠された,など色々想像してしまう。逆に言えばそういうことがもはや問題にならない、何でもあり、タブーなしの今だからこそ、実現したコミック化かもしれない。うがった見方をすれば米軍基地の再編問題も絡んでいるかもしれないなあ、なんて深読みしすぎか。それぐらいこの漫画のテーマはヤバかった。でもでも、とにかく格好イイ!上條さんの絵はなんでこんなに格好良いのか。この漫画
で私の良く知っている学校の校門が出てくるのだがフレームは皆、一緒なのに見慣れた風景がなぜこうも美しく洗練されたわくわくする空間に生まれ変わるのか、不思議でしょうがない。光と影のコントラストが微妙にうまいのだ。
 そして、次の魅力として小物へのこだわりがある。まずクラシックカー。「TO−Y」ではミニだったが、本作品ではアメ車が随所に現れてシーンを盛り上げていた。次に動物。TO−Y」では猫、「赤×黒」ではウサギ、「8」ではドーベルマン、そしては「SEX」は言わずとしれたイグアナである。いずれもその時代時代を最も象徴した動物が現れている。部屋の中で爬虫類飼うって流行ったなあ。今やったらオタクかあぶない宗教信者だなあ。
 その風景の中、活躍する登場人物、主人公はかならず反社会的で、且つ決して悪人ではない良心もあって、純情で、天才的な能力があって、群れないが人を惹きつける人気者で、喧嘩に強くて、オシャレで美男子で背が高くて、っておい待て!そんな都合良すぎる理想像が存在するか!(いいんだよ漫画だから)、でもそれを許せるどこか間抜け振りとユーモアも兼ね備えていて、鼻につかないよう配慮されている。脇役も主人公に比べやや落ちるように配慮されていて、押し並べて格好良い。相当端役でない限り格好悪い人間は出て来ない。圧倒的な存在感の主人公に脇役たちが反発しながらも従っていく様が繰り返し表現される。
 そしてロケ地。やっぱり中学~高校ってのは共通したテーマだなあ。年齢のわりに登場人物がフケ過ぎなのは作者自身も認めるところだが、なぜその年齢にこだわるのか、ヤングサンデーなんて少年誌じゃないのにねえ。そしてとにかく町並みにこだわる。福生、横須賀、那覇、基地を追っているようで丁寧に描かれているのはやっぱりストリートなのだ。
 年齢と名前の説明書きにこだわるのは、たがみよしひさ「軽井沢シンドローム」の影響か。そういえばあの漫画も車にこだわっていて、かといって決してそっち系の走りやメカ追求した漫画でもない。似てるかな、ご都合主義も。どうせフィクションなんだから、中途半端な設定より思いっきり派手にご都合主義の方がいいでしょう。人間ドラマもドロドロした汚い部分は絶対に描かない。都合悪くなると風景や存在感でごまかし、丸く収まってしまう。 この漫画ではユキ(♂)が突然、無敵になった(爆)。そしてカホがやたらと意味もなく脱ぎ始めた。さらに登場人物がやたらと増えた。その結果、本来、主人公であったはずのナツが脇役のヒガより地味になり解説役になってしまった。あと当時の流行かSM化もあった(念のため知らない人に言っておくがセックスシーンは1つもない)。
 最後は自分の半身(同性)/記憶を探すというテーマになった。私の好きな「日出処の天子」の厩戸王子と毛人、「バスタード」のダーク・シュナイダーとカル・スなど同性愛の絡んだ普遍的なマンガのテーマである。「SEX」ではユキ(♀)とカホという女性同士だが。ユキ(♂)との関係も有耶無耶なまま終わってしまうのが口惜しい。ユキ(♂)とユキ(♀)は黒孩子なのか?(中国も貧しいイメージが強かったなあ、今は逆だが)とかもう少しその辺も描かれていると嬉しいのだが贅沢を言っても切りがない。もともとユキ(♀)が殺し屋という時点で設定に無理があるよなあ。性格描写なんてできないし。その上、記憶の戻ったユキ(♂)も殺人者だったら、爆弾魔のくせに殺しだけ忌み嫌うナツは一緒に暮らせるのか不思議だ。
 「SEX」連載時の日本はバブルの絶頂期、そこら中に2億円なんて金がごろごろしていた。私も営業をやってたころ某地方都市で現金取引しかしないお客の会社の待合室にいる間、札束でこっそり積み木とかして遊んだ記憶があるなあ。一方、カホはゲームセンターのマシンにメッセージを入れ、伝言版代わりにしていた様に携帯もインターネットもない時代、情報の伝わりはとても遅かった。すれ違いがドラマを生んだ。思えば、今はマンガが描きにくい時代になったよなあ、例えば「8」ではVAIOの薄型ノートPCが小道具として良く使われているがちょっと休載している間に誰も使わなくなってしまった。「SEX」の頃はまだ休載しても世の中そんなに変らなかったもんなー。日本にはもうどらえもんやサザエさんのような街はどこにもないもんなー。カホのスカートは長かった。放課後は制服
を私服にわざわざ着替えてた。今じゃ制服のない学校でも女子高生は制服を着てる時代だ。
 このマンガに触発されて沖縄の米軍基地や国際通りを観に行ったことがあった。福生の横田基地やハウスも見に行った。横須賀の軍艦も見たが、「SEX」の雰囲気はどこにもなかった。全てが重い
のだ、現実が。「SEX」はとことん軽い。だから夢がある。ミニクーパーも買ったことがあるが、私は車が嫌いなので見てるだけで殆ど乗らなかったら錆びた(爆)。忌野清志郎も福生のジャパマ・ハイツに住んでたことがあるが、冬は寒くて大変なんだそうだ。そういう話は夢がない。田舎暮らしに憧れてもみんな都会に住んでるように、温泉にでも行きたいねといいながら仕事してるように、現実社会はつまらないものだ。。現実社会からの逃避、そうしたはみ出し者への憧れがまだ許されていた時代、実際には社会からはみ出してニートやフリーターや引きこもりをやってもそこにはなんの希望もないことがわかってしまった現代に比べ、夢があった。だから「SEX」は今読むと、余計に眩しく、
キラキラと輝いて見える。

8(エイト) 3 (3)

8(エイト) 3 (3)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/08/30
  • メディア: コミック


TO-Y 10 (10)

TO-Y 10 (10)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 新書


赤×黒 (上)

赤×黒 (上)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: コミック


軽井沢シンドローム [少年向け:コミックセット]

軽井沢シンドローム [少年向け:コミックセット]

  • 作者: たがみよしひさ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • メディア: コミック


日出処の天子 (第7巻)

日出処の天子 (第7巻)

  • 作者: 山岸 凉子
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: 文庫


バスタード BASTARD [少年向け:コミックセット]

バスタード BASTARD [少年向け:コミックセット]

  • 作者: 萩原一至
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • メディア: 新書

GOTTA(ガッタ)!忌野清志郎

GOTTA(ガッタ)!忌野清志郎

  • 作者: 連野 城太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1989/06
  • メディア: 文庫


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