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ダリ回顧展は下らなかった [美術展/博物館感想]

http://www.dali2006.jp/
大体、ダリ展は今まで何回も観たし、フィゲラスの劇場美術館にも行っているから、もう今回は観たことある絵ばっかりでさ。しかもデッサンとか初期作とかつまらないのが多かったよな。回顧展と命名するにはあまりに貧弱。それでもあれだけ人が集まっちゃうのは、やっぱりメディアの威力、上野という土地柄、太田総理の力もあるのかねぇ(爆)。モーツァルトとか日本人は生誕何々年っていうメモリアル企画に弱いからねぇ。暮れに観に行った時は1時間半待ち(遊園地のアトラクションかっつーの!)で撤退を余儀なくされ、まさか元旦から気味悪いダリの絵を観に行くのは俺くらいなものと思っていたら甘かった!ラッシュアワー状態だ。だから上野は嫌なんだ。
上野の森美術館なんて確か所蔵品はないから、美術館というより展示スペースって感じだよなあ。
壁もハリボテみたいだし、警備員はうるさいわ、照明が下手で絵が光って見えないような場面も多いわ、トイレは並ぶわ、足は踏まれるわ、押すなとか文句は言われるわで、まあ散々な鑑賞状態だったよ。
 そんな中でもシュールレアリズムの走りである「器官と手」はいいね。事物が抽象的で三角定規の様な物体はキリコの絵を、その周囲を浮遊する物体はイブ・タンギーの絵を思わせる展開。ダリの絵は大体黄土色っぽいがこちらは白・赤・青のすっきりした配色で珍しい色調だった。
 「焼いたベーコンのある自画像」:大型ポスターを売っていて危なく衝動買いする所を思い止まった。こんな気持ち悪い絵を部屋に飾ったら毎晩うなされるに違いない。松葉杖で支えた目・口に蟻がたかる姿はなんともシュール。でも欲しい!
 「ミレーの『晩鐘』の考古学的記憶の増大」:このテーマは頻繁に出てくるが、二人の農夫が岩壁になり樹木が生え、遺跡と化す発想は凄い。
 「新人類の誕生を見つめる地政学の子供」:この絵のポイントは何と言っても卵を破って這い出そうとする新人類の顔が見えない点だろう。そしてその輪郭の盛り上がりだけが卵の殻に映し出されているところが何とも恐ろしげで、一体どんな凄い顔がそこに隠されているのか考えると夜も眠れない(爆)。
「夜のメクラグモ・・・・・希望!」:第二次世界大戦を表す風刺的絵画。スペイン内乱を描いた名画「内乱の予感」もそうだが、戦争という荒廃した環境がダリ絵画という怪物を産んだことは間違いない。「9月末の3匹の鰯のある皿の中の電話」も受話器が、たった1本の国家の指導者たちの電話が多くの殺戮と破壊を生む悲劇に繋がってしまう皮肉を如実に表している。ちなみに鰯はスペインを表しているそうだが、よくわからない(爆)。

 まあとにかく、日本の美術館事情は先進国の中では最悪だろう。劣悪な環境の中、これからも高い金払って他人の後頭部を観にいかねばならないのかと思うといささかうんざりだ・・・・・。


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