マンションは買えない [時事問題]
今回の耐震強度偽装問題を聞いて、私は2000年11月に起きた前期旧石器発掘ねつ造事件を思い起こした。両者は3つに特異性において一致している。すなわち
1.たった一人の人間によって偽装・ねつ造が行われていること。
2.その設計・発掘の結果を誰一人疑わず(または不正疑惑を見て見ぬふりをして)、いくつもの権 威あるチェック機能をパスしてしまったこと。
3.その事件の影響は、単に偽装されたマンション・ねつ造された遺跡のみならず業界・学界全体 の信用崩壊につながったこと。
いずれも職業的性格による善人主義、性善説に基づく思い込みが招いた不幸である。
そもそもマンションは、本来、動産の筈である。それは神ではなく人が作りしもの、すなわち人工物で年々、老化しいつか破壊するものである。にもかかわらず日本だけが、法律的にマンションを土地のように不動産扱いし、年数が経つと値上がったりする人工物にあるまじき現象が起きるのは全く馬鹿げているし、自然の法則に反している。
「マンションを買う」という言葉もおかしい。住民は買っているのは「マンションの一室をある程度自由に使える権利」を買っているだけで決してマンションそのものを買っているわけではない。玄関から通路に一歩であれば自分のものではないし、エレベーターもそうだ。ましてや建物内部の構造なんて自由になる筈もない。それは阪神大震災で証明された。一度、倒壊されば住民の総意がなければ建て替えられず、10年経っても未だに破損したままのマンションもあると聞く。最近では修繕費と称して住民から積立金を収めさせているようだが、それって形を変えた家賃なのでは?
それもこれもマンションは永遠に壊れないという不動産神話があるためである。
マンションに住んでない無関係な私(うちのボロ家は"耐震”などという言葉とは無縁だ(爆))は、マンション住民に対し気の毒だなあと思いつつも、自分たちの税金を使って保障するのは当然納得がいかない。地震国日本では、いつどこにいても大地震による生命の危機は人々が等しく抱えた運命だからである。そういう意味で”マンションを買うという行為”自体、ちょっと迂闊かなと思ったりする。勿論、悪いのは偽装した設計事務所であるが。
今回の耐震強度が偽装されたマンションの購入者は、詐欺の被害者だと思います。
そして、一般的な詐欺事件の被害者は、決して公の金で救済されません。
ただし、今回の事件をきっかけに、法律の穴や役人の体質・政治家の無能さまでも利用した住宅関連の大がかりな詐欺事件の被害者に対しては、これまで国民の預貯金利息を吸い取って立ち直った銀行業界が救済の手を差し伸べるべきだと思います。
そして、本当の悪人は、総研の内河健であり、彼が詐欺事件を思いつくようになった現在の建築基準法作成の中心人物だった、現都市再生機構副理事長の小川忠男です。だた、この二人しょっ引くのは、現在の法律では難しいでしょう。
by スパイラルドラゴン (2005-12-04 08:17)
コメントありがとうございます。
いつの時代も巨悪・黒幕は捕まりませんよねぇ。捕まるのは下っ端・雑魚ばかり、犠牲になるのは、いつも兵隊と庶民ばかりです。
by はなれざる (2005-12-04 15:46)