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「めがね」と眼鏡への様々な想い [映画/DVD感想]


めがね(3枚組) [DVD]

めがね(3枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
  • メディア: DVD


謎の南の島で、正体不明の宗教の教祖であるもたいまさこが、1年に1度、春に、食べるとこの世の苦痛から救われるというカキ氷と、万病予防になるというメルシー体操を携えて、布教活動に来る、というお話です(デタラメ)。

この映画は、1.5倍速再生でも普通に見えます。特にマンドリンの演奏なんか倍速でも全く無理がありません(笑)。いかに我々が普段セコセコ行動しているかわかろうというもの。

この映画は、環境ビデオです(笑)。大して事件もストーリーもなく淡々としているが、美しい海と海岸の風景が何処を撮っても絵になってしまうため得しているちょっとズルい作品です。余りに広大な空と海に画面はとても狭く感じられます。

私は細かいことが気になるので、小林聡美扮するタエコが、道端に不法投棄したジェラルミン製の巨大な旅行鞄が、どうなったのか最後まで気になって仕方がなかった。後でユージ扮する光石研が取り行ってくれるのかと思ったら、いつまでたってもタエコの部屋に、鞄は無いままだし・・・。最後、ハルナ扮する市川実日子の車で帰る時に、道に置き去りのままだった鞄を取って帰るのかも思ったら出て来ない・・・。そればかりか眼鏡まで不法投機する始末。幸い眼鏡は釣り上げられた様ですが、私なら絶対拾いに戻ります。なにせド近眼+乱視の私は眼鏡がないと歩行もできません。与論島から東京まで眼鏡無しで帰るなんて不可能です。だから私は旅先では破損しても大丈夫な様に必ず二つ持って行きます。眼鏡はレンズが高いですし、自分の目にあった眼鏡を作るのは大変ですし、近年はパニックで視力検査をしてるとすぐ気分が悪くなるため、余計な眼鏡作りはしたくありません。それにしても不思議なのは、旅行鞄がなくなったのに、小林聡美が毎日服を着替えていること。近所に気の利いた洋服屋も無さそうなのに・・・?。「かもめ食堂」でもたいまさこがやはり鞄を失いましたが、彼女は服を買いに行ってました。ヘルシンキは都会だし。

私は眼鏡は今5個ぐらい持っています。度入りのサングラスや水中ゴーグルを合わせると10個ぐらいでしょうか。とにかく、眼鏡がないと生きていけませんし、外すのは寝る時と風呂入る時と顔洗う時だけ。温泉や銭湯では付けて入ります。これは眼鏡をかけずに入って友達と他人を間違えて声をかけてしまったからです。私にとって眼鏡は感覚器官と同じ。でも子供の頃から苦痛の種でもあります。しょっちゅうメガネザルとか言われ苛められ、体育の球技では眼鏡を外せと言われ味方と敵の区別がつかず体育が2になったり、何度もコンタクトに挑戦しましたが、乱視が酷くハードでしか矯正できない為、異物感が耐えられなかったり、ものもらいがすぐできたりして諦めました。したまま寝て曲がったり、事故にあって道路に擦ったり、温泉の湯でプラスチックレンズを溶かしたりしてるのでどれもボロボロです。

この映画で眼鏡をしている人は、もたいさんを除くと皆、いかにも眼鏡をし慣れてないというか、普段はしていないでファッションでしている様に感じます。だからとってもかっこいいしピカピカだけど眼鏡に生活感が感じられません。私にとって眼鏡は必要悪で、しょっちゅう鼻や耳の感触が気になったり(鼻に肉がないのですぐ垂れめがねになる)、流行の形が気になったり、柔らかいとかキツいとか顔の印象が気になったりして悩むので、ダテ眼鏡をする人の気持ちが全くわかりません。知的に見える、なあんて言いますが、要は男にとって軟弱に見えるって事ですから。実際、知的に見えて私の様にバカだったら本当にカッコ悪いじゃないすか?(笑)

この映画での眼鏡の役割は恐らく、日常生活の象徴だと思います。都会とか仕事とか、過去のしがらみとかこだわりとかそういったものの象徴がめがねなんだと思います。だから、タエコが最後、眼鏡を捨てたのはこの旅によって、日常生活の悩みを捨て去った瞬間なんだと思います。そして過去の自分と決別し、新しい自分(眼鏡)に生まれ変わったタエコがラストシーンで出てきます。

この映画は、やたらみんな食ってます(笑)。加瀬亮はつまみもなしにあんなにビールばかり飲んで気持ち悪くならないのか心配です。カキ氷もいかにも寒そうです。私はお腹の弱い子なので、春にあんなに山盛り氷を食ったら一発で下ってしまうでしょう(笑)。う~ん胃の丈夫な登場人物たちが羨ましいです。

私は一人旅を時々しますが、薬師丸ひろ子が経営する宿のあんな建物の感じ、は旅先でよく泊まります。なんとなくリゾートしようとしているが貧相で失敗している安宿って感じ。しかも私は方向音痴なので宿にたどり着くまでぐるぐる迷うのです。さすがに農業をやれとは言われませんが、そういう宿(特にペンション)には安いだけに、食事や風呂に色々なルールというか制限があって結構気づかれすることもあるので、ああわかるわかると思ってしまいました。見た目は民宿とかいいんですが、人との触れ合いが苦手な私はなるべく人間関係を希薄にしたいので、ビジネスホテルが一番気楽ですね・・・。その点「ハマダ」は食事も起床も自由でいいですね。

この映画のテーマである“たそがれ”。私は普段、日常でたそがれているので旅先では、逆に凄く精力的に動き回ってしまいます。以前、ヨーロッパに卒業旅行した際、フリーツアーに同行した友人が、スペインのある村が気にいって、後の予定を全部キャンセルしてそこに何週間も滞在し続けたことがありましたが、私には絶対そんなことはできません。予め決めておいたスケジュールに沿ってパリ1泊、ウィーン1泊と強行日程をこなしていきました。今でもどこに行ってもくたくたになるまで散策・観光しまくってしまいます。元来、ケチな性格なので旅先では、もう二度とここには来れないかもしれないという思いが働いて観まくってしまうのです。もたいさんも「東京では車も人も多く閉塞した所で反対に広い空を想う。、ここは余りにもシチュエーションが、海があり風が吹き鳥の声が聞こえるだけで高い建物もないので、 たそがれる必要がない」とインタビューで仰っていましたが、凄く共感できます。私も都会生活に疲れた時、ふっと公園のベンチや多摩川の河原や、果ては自室でたそがれるので、もう人生そのものがたそがれているので(笑)、旅先という非日常では楽しくてたそがれる必要はまるで感じません。ユージはタエコに、ここは観光するところはない、と言っていましたが、いやいやとんでもない!青い海に白い砂、自然溢れる島の緑、もう観光しまくりじゃないですか!私なら風景写真撮りまくって、生き物観察しまくって、歩きまくって、自転車借りて走り回って、筋肉痛になることでしょう(笑)。だから旅先でたそがれる人は、日常は気を張って頑張って、たそがれない様にしている人なんですかね・・・。

前作「かもめ食堂」では主人公が初めての客のコーヒー代を無料にし続けたり、片桐はいりももたいまさこも無給で働き続けたりと、無欲な人たちによって「金銭の無駄」が描かれていたと思います。つまり、お金を稼ぐ=働く ではない、金を稼ぐことは幸せにとってそんなに重要なことではないというテーマがあった様に思いますが、「めがね」では更に「労働の無駄」も説いている様の思えます。ただ、それが南の島伝説によって描かれているのはどうなのか。南の島では働かなくても食べて行けるという信仰が昔からあって映画でも良く使われます。「男はつらいよ 寅次郎紅の花」でも南の島で、島の人が色々海産物などをくれるので働きもせずのんびり余生の様な生活を送る寅次郎とリリーの姿が、描かれていたが、 「めがね」の宿の主人も巨大な海老をたくさんもらったりして、そういう暮らしをしているようだ。しかあし!沖縄県の失業率を考えるとそんなものは所詮、夢物語ではないか!と思ってしまう私はつまらない人間なのだろう。ああ一生遊んで暮らしたい!

タエコ先生と加瀬亮のただれた関係、もっと掘り下げて欲しかったですね(笑) 教師と生徒の許されぬ恋なのか?、それが原因で教師を辞め加瀬亮にも迷惑をかけまいと恋も諦め、南の島に逃避行してきたタエコを加瀬亮が追ってきたのか?妄想が膨らみます(笑)。

市川実日子は校庭でサンダルで思いっきりサッカーボールを蹴っていたので生爪はがさないか心配です(笑)。

大貫妙子の曲、さすが素晴らしいですが、映画の雰囲気に合っていない気がします。もっと悲しみ苦しみを含んだ内容が込められたストーリーでないと・・・。

付録ディスクの「めがねの休日」最高です。本編より面白いです。もたいさんの声に大笑いです。

付録ディスクの「朝のたそがれ」テーマソングがくどすぎます!疲れました。私は15話目が好きです。光石 研のため息がなんとも言えません。この人はなぜか全体的にカマっぽく扱われていますね? 字幕の「妙子にだけは見せるな」って主人公タエコのことかと思って、小林聡美も一緒に踊っていたのになぜ???って思ったら、ああ大貫妙子のことか!と思い直しました。本当はどっちなんでしょう?(笑)


<参考>


かもめ食堂 [DVD]

かもめ食堂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD



男はつらいよ 寅次郎紅の花 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹
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