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「六ヶ所村ラプソディー」ともあれ真理は語られている [映画/DVD感想]

 http://rokkasho.ameblo.jp/

  「ヒバクシャ」の時http://blog.so-net.ne.jp/hanarezaru_bibi/2005-12-04 も書いたが鎌仲ひとみ氏の映画はなぜか眠い。今回も狭いスペースと満員御礼で酸欠状態の中、せっかく読みやすく改善された字幕も人の頭で良く見えず、おまけに上映中トイレに立つオバサンに思いっ切り足を踏まれたにも関わらず、眠気を押さえることはできなかった。何が悪いのか?やっぱりスローテンポだなぁ。音楽も殆ど無いし。津軽三味線は良かったけど使い方が効果的じゃないんだよなぁ。あと、やっぱりあの笑いながらのインタビューはやめて欲しい。プルトニウムの緊迫感がゼロになっちゃうんだよなぁ。まるで野菜の話をしてるみたい何だもん。劇中で紹介された「泊は負けてねぇ!」のノリでやったら迫力があったのに。やはり機動隊と衝突というのは時代遅れなのか。
 映画が終わった後のトークショーで言ってた能登原発{鎌仲氏は富山県氷見市(氷見線で有名な氷見市は古代、布勢水海のあった素晴らしい所だ!)出身だそうな}の話も以前http://blog.so-net.ne.jp/hanarezaru_bibi/2007-03-27 で私も書いた朝日新聞のネタだもん。情報内容が一般人と変わりないわけで、もっと報道されないレアなネタを聞きたかった。そして終わった後の露骨な寄付宣伝も、引く。なんかパワーあり過ぎでやっぱり大根売ってるみたいで・・・。言ってることはすばらしいんだけど深刻さが感じられない。六ヶ所村の当事者たちの映像が深刻さを増せば増すほど、鎌仲さんの笑いがよそ者の傍観者ぶりを際立たせてしまう。つい金儲けのためにやってるのでは?って勘ぐってしまうほど金銭欲求がストレート過ぎる。ああいう行動にお金を出す企業はいないだろうから気持ちは十分理解できるのだが。
 もし坂本龍一が観ていなかったら今回は見送ったかもしれない。さすが坂本氏、映画では全く語られなかった、縄文人のことについてパンフレットでふれていた。私も小川原湖周辺に栄えて現在は殆ど省みられない縄文人・アイヌ人・蝦夷の多く遺跡について考えていた。貧しいだの過疎だの言われる六ヶ所だが、古代では決して貧しい土地ではなかったのだ。それは今も変わらないはずだ。本当に貧しいのは、貧しくしてるのは、東京にばかり、アメリカにばかり顔を向けている人々の心ではないか?本当なら豊かな漁場と良港に恵まれ、中国や資源大国ロシアにも近い青森県は交通や経済の要衝になってもおかしくないのだ。ブッシュ大統領は腹痛でサミットを早引け(親ブッシュも吐いたんだよな。親子そろってどうしようもないな)。米国の時代は終焉を迎えようとしている今、明日は六ヶ所が注目されてもおかしくない時代なのに、とんまな政府の甘言にのって札びらで頬ひぱったかれて、漁業権や子供たちの明るい健康的な未来まで売ってしまうとは、全く何たる愚行だろう。もうこれで核燃料再処理工場を撤去しない限り、六ヶ所村のあらゆる可能性は絶たれてしまった。
 核燃料再処理工場を支持するクリーニング屋店長の言葉が耳に残った。「だって今電気があって当たり前じゃないですか。自動車があって当然、飛行機があって当たり前。この当たり前の物がなくなったときにどうなるんだろうと。」ちょっと待った!プルトニウムで自動車は走らないし、飛行機も飛ばないぞ!いくら言っても原子力を石油の代替えエネルギーと思い込んでるバカがいて困る。やっぱり鉄腕アトムがジェット噴射で飛んでた影響があるのか?もう何度も書いてるが原子力は逆立ちしても電気しか生まないのだ。ウランを燃やして走るような、核爆弾以外の何かの燃料になったりしないのだ!少なくとも石油がこの世から消えれば、原子力発電所も核燃料再処理工場も高速増殖炉(もともとストップしたままだが)も全てストップせざるをえない。使用済核燃料を積んだトラックも貨物船も動かない。プラスチック等建材も多くが消滅してしまう。おまけにウランも石油と同じ様にいずれ掘り尽くされてしまう。埋蔵量はそれほど多くないしもちろん日本にはない。放射性廃棄物がプルトニウムに変わるのはごく一部だから、いずれウランが枯渇すればプルトニウムを用いた原子力発電も終わりだ。にも関わらず石油社会に変わる原子力社会がやって来るなどという幻想が何時までたっても頭をもたげるのは一体どういうわけだろう。こんな危険な想いをしてプルトニウムを抽出して何をやるかといえば、お湯を沸かすだけだ!その蒸気でタービンを回す。たったそれだけの為に100万年も危険な毒物を管理し続けなければならないのだ。お湯を沸かすだけなら地熱でもできよう。タービンを回すだけなら風車でもできよう。何もプルトニウムなどという、かつて多くの日本人の命を奪った恐ろしい兵器の燃料を使う必要がどこにあるのだ?
 イギリス・セラフィールドの取材は良かった。放射能漏れの話は殆ど既知の事柄だったが、やはり生の映像は迫力がある。再処理の大部分はフランスだから是非、ラ・アーグ再処理工場にも行って欲しかった。
 原子力専攻の東大教授の「原子力発電所は凄い儲かっているんでしょうね」という憶測発言は余りに無責任過ぎる。原子力発電所は建てて発電して終わりではない。廃棄物の再処理を安全に実施するのも、高速増殖炉を運転を実現させるのも、廃棄物を地下に埋設し気が遠くなる様な時間管理するのも、臨界事故等トラブル発生時の想定コストも、原子炉の寿命による解体も、既に莫大な費用がかかっており、しかも将来最終的にいくらかかるか誰にもわからない未完のプロセスである。それに対して儲かってるんでしょうねもないもんだ。結局、足が出た際のツケは全部国民に回ってくる。原子力発電は「結局、金」ではないのだ。最終目標はあくまで軍事目的であり、何がなんでも再処理へ突き進むその答えは”核”にある。この映画はそのことにふれていない。
 前出のクリーニング店長が「一番電気を使ってるのは東京じゃないか」と吐き捨てる様に言っていた(それに対し鎌仲氏は「いやぁここも使ってるんじゃないですか?」と苦笑いしながら応えていた)。映画監督の土本典昭氏も劇中「東京湾に作ればいいんだ」と言っていたが、私も安全だというなら是非そうすべきだと思う。それができないのはやはり危険だからではないか。だとすると東京の人間は死んだらマズイが、六ヶ所村の人間は死んでも良いというのは余りに自己中心的且つ、他者軽視的な考えだ。なんと言っても自己中の塊のような男が都知事として大人気なんだから推して知るべしである。石原はオリンピックなんて誘致しないで核燃料再処理工場を誘致すべきだろう。東京にはその責任がある。

 6/3(日)千歳烏山「すぺーす楽多」  にて


 

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