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塀の上を歩く日本人 [心象風景]

 本当に起きた映像かどうかわからないが、子供の頃、友達が崩れたブロック塀に囲まれて倒れているのを見下ろしていた記憶がある。子供の頃は、やたらと塀やドブ川の上のコンクリの梁の上を渡ったものだ。ある時、近所の家のブロック塀の上でみんなで遊んでいたら突然、塀が崩れてバラバラになってしまい、友達の一人がその下敷きになったのだ。夢の記憶かもしれない。最近は、そういう登れるブロック塀も、渡れるドブも、外で遊ぶ子供も、それを許す親もすっかり無くなってしまって、子供が危険に対して酷く鈍感なまま大きくなってしまう。
 一方、最近図書館に行くと、ホームレスの人をよく見かける。彼らは酷く臭いし、汚いので、彼らが入ってくるととても憂鬱な気分になり、人間は、ああはなりたくないものだ、と思っていたが、よくよく考えてみると生まれながらにしてホームレスの人は、日本ではほとんどいないであろうから、経済的・心理的な何らかの理由でそうなったわけで、僕らも常にその境界線上を歩いているわけだ。そして、ある日突然、ブロック塀が崩れ、塀の反対側に落ちてしまうかもしれない。日本全体が、いつ崩れるかわからない塀の上を歩く子供のようだ。しかも、その塀は昨日まで極めて強固に見え、決して崩れることはないように思えたのに・・・・・。
 今やそれは、夢の記憶の様な幻想に過ぎない。

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ホムンクルス 1 (1)

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  • 作者: 山本 英夫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/07/30
  • メディア: コミック


美味しんぼ (7)

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  • 作者: 雁屋 哲, 花咲 アキラ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2000/12
  • メディア: 文庫


この中の第1話「5年目のパスタ」の状況設定が「ホムンクルス」にそっくりです。グルメのホームレスなんてねぇ。




みるなの木

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  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2000/04
  • メディア: 文庫


この中の「巣」が有り得ないホームレス生活を描いていて面白いですよ。それにしても椎名誠は地下にもぐるのが好きですねぇ。


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コメント 2

非日常というのは、日常の中に潜んでいるものなのでしょうね。
JR西日本の事故、園児の列に突っ込む車・・・。
会社の倒産、地震・・・。
危うい日常が、崩れるまで我々は気づかないものなのかもしれません。
by (2005-11-02 22:39) 

はなれざる

コメントありがとうございます。ホームレスも日本の日常ですよねえ。なのに、彼らを非日常だと思っている人が、かつての私も含めてまだたくさんいます。ほんとは気付いているんだけど”臭いものにはフタ”をして見えないフリ。 「ここは自分の居場所じゃない」と違和感を感じてても、存在が許される時代は終わり、今や容赦のない自然淘汰の時代がやってきましたよね。ホームレスは、居場所を奪われた人が最後に行き着く所。外交の悪化で日本の居場所がなくなりつつある現状と重ね合わせるとうそ寒い気がします。
 駅前を小綺麗にしても彼らは他へ移動して、生き続けねばなりません。不法自転車を撤去するようなわけにはいかないのです。
by はなれざる (2005-11-03 21:42) 

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