空っぽのフィルム 「ランド・オブ・プレンティ」 [映画/DVD感想]
http://landofplenty.jp/
ヴィム・ヴェンダースの映画でまさか眠くなるとは思わなかった。
この映画は3週間(撮影は実質2週間)で作られた映画だけあって、実に間に合わせの空っぽな映画だ。胸を打つ感動のストーリーがあるわけでもない、恋愛もない、親子愛もない、素晴らしい演技
があるわけでもないし、もちろんアクションもない、風景はまあまあだがとりたてて綺麗というわけではない、メッセージも中途半端、意味深なセリフなし、主人公ラナもこれといって美人でもないし可愛くもないし取り得もない、映画というよりもフィルムの寄せ集め、編集前の段階みたいだ。ポールが暗視カメラ付き完全武装でお婆さんの家に乗り込むあたりはそれなりに笑えるが、苦笑程度だ。少なくとも笑ってる観客はほとんどいなかった(もっとも僕の前のお客さんは「ポール叔父さんの動きはむちゃくちゃ面白かったけど、笑っちゃいけない映画なのかと思って笑えなかった」と言っていた。実にシャイな日本人らしいコメントだ。映画館で拍手をしたり、歓声を上げたりするアメリカ人からは想像もつくまい)。
この映画は「アメリカ、家族のいる風景」(来年公開予定)の撮影が資金難で延びたので合間に急いで作ってみた映画なのだそうだ。なんじゃそりゃ。ひょっとして資金集めか?
ロードー・ムービーと銘打ってるが、旅のシーンはほとんどない。トロナにもニューヨークにも一瞬で着いてしまう。ガソリンスタンドも出てきやしない。”「パリ・テキサス」以来の最高傑作”という宣伝文句は誇大広告だ。ナターシャ・キンスキーのセクシーな演技にラナが追いつけるものか。両映画が似てるのは雰囲気だけで、月とスッポン。「パリ・テキサス」は泣けるよ、ナターシャ・キンスキーが最後、子供をぐるぐる回すシーンなんてもう最高!だけど「ランド・オブ・プレンティ」はどこに感動すればいいんだ?役者が感情移入してないのに観客が感動できるわけないだろう!
9.11はほとんど役割を果たしていない。反戦映画でもない。愛国映画でもない。大体、ベトナム帰還兵を持ってくるあたりが古いだろう、ランボーじゃあるまいし(爆)。全然ベトナム帰りって演技じゃないよな(ラナもアフリカ帰りには見えないなぁ(爆))。よそ者が描いたアメリカ風景なので平和か戦争かどちらの側につくこともできない傍観者ぶりが鼻につく。
そもそも上映がビックカメラの上っていうのが気に入らない(爆)。そうぞうしい店内で見終わったあと感慨にふけることもできないし、出入り口がよくわかんないし、よみうりホールのおばさん軍団でエレベーターはえらく混んでるしで、環境は最悪だ。
ショービズで見た宣伝フィルムがあんまりうまく撮れてるんで騙されました。
映画という形にはまだ成っていないアメリカ西部の空虚な風景集が好きな人はどうぞ!
PS.そうそう音楽のイメージビデオみたいでした。なんたって題名が歌詞から来ているんですから。
心地よいメロディが更に眠気を誘いました(獏)。
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