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スカイライン [映画/DVD感想]


【Amazon.co.jp限定特典付き】スカイライン -征服- [DVD]

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  • 出版社/メーカー: SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
  • メディア: DVD


http://skyline-movie.jp/m/index.html
見なけりゃ良かった。いや、出来が悪いとかいうのではなくて、むしろ良いんです。去年見たら星四つはあげられます。しかし今は・・暗澹たる気持ちにさせられました。だから星は一つもあげられません。震災前に見たかった。皆さんにも見ないことをお奨めします。

物語は、ある日突然やって来た残忍な宇宙人の大軍団に寄って、人間が虫ケラのように殺されわずか三日で地球は征服されてしまう、というもの。
登場人物たちは為す術もなく、ただ同じ場所を行ったり来たりしながら次々と虐殺されていく。絶望感の中、呆然と仰ぎ見るロスの明るい青空に浮かび上がるグロテスクな宇宙人と宇宙船の大軍団・・・

主役の女性が妊娠したことを早過ぎると喜ばない彼氏が、命をかけて恋人を守る豹変振りは納得がいかないが、こういう映画は心の描写など付け足しに過ぎない。機械と生物が融合したような宇宙人や宇宙船内部は『マトリックス』のロボットによく似ている。冒頭、夜にブラインド越しに宇宙人の放つ目の眩む光を覗くシーンは『未知との遭遇』へのオマージュだし、巨大型宇宙怪物の顔はプレデターやエイリアンの影響が見れるし、蛸型宇宙人が人間を探すシーンはスピルバーグの『宇宙戦争』を彷彿とさせる。彼らは人間の脳を使って再生できるので殺しても切りがない。

そしてもっとも恐ろしいのはこの映画には結末がないことだ。本来、こうした世界終末的SFホラー映画というのはハッピーエンドであれ悲劇的結末であれ、なんらかの決着をつけることで、人々は空想から解放され現実世界に戻れるのだが、この映画は安易に結末を付けないことで、映画を見終わった後も恐怖の余韻に捕われたままだ。

こういう映画がアメリカで作られることは、アメリカ国民の抱える漠然たる不安を表しているが、日本ではその不安が具体的な災厄となって起こってしまった。どんなに精密なCGを使った映像も現実の恐怖には敵わない。あの大津波で人や車や家が紙くずの様に流されていく有様を見、更に福島原発の建屋が爆発で吹き飛ぶ映像を見た後では。そもそもSFホラーというものは、現実の世界が不安な時、更に悲劇的な映像を見ることで、我々はこれに比べればまだ平和で安全だと感じ、現実世界の有り難みを知るのが魅力だ。現実世界が空想を越えてしまったらその映画に価値はない。
わざわざ宇宙人を連れて来なくても、人類は自然災害と自らの愚かさで簡単に滅んでしまえることをあの災厄は教えてくれた。むしろ三日で世界が終わる方がマシかもしれない。この先何十年も放射能と大地震の恐怖に怯えて暮らすのに比べれば。

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