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ひっ迫 [社会風景]

先日、閉所恐怖症の女性が離陸直前の飛行機を止めて降りてしまった、というニュースがあった。
このニュースに関するネット上の指摘が認識が甘いのでは?と感じ一言書きたくなった。
まず、自称「閉所恐怖症」のことだが、本当はこの方もパニック障害の一種である空間恐怖症ではないかと思う。この方が飛行機を降りJRで東京に向かったと産経新聞は報道していることに対し、JRも飛行機も狭さは対して変わらないのではないか?という書き込みがあったが、空間恐怖症の人間にとって列車と飛行機は全く違う。列車にはシートベルトなどなく、身体を拘束されない。その結果、いつでも立って歩けるという空間のゆとりがあるのだ。いや、飛行機も立って歩けるぞ、という意見があるかもしれないが、離陸中は無理だ。健康な方は、そんな短時間我慢できなくてどうする、と思われるであろうが、5分も堪えられないのがこの症例の特徴なのだ。ではなぜ、それがわかっていながら飛行機に乗ろうとしたのか、という非難があったが、恐らく本人も空間恐怖症だと認識していなかったのではないか。その証拠に体調不良を訴えたのが、離陸直前の滑走路移動中である。もう、後戻りできないギリギリの瞬間になって爆発するのがこの症例の厄介なところである。恐らく乗り込むまでは体調も優れ、なんの不安もなかったのではないか。空間恐怖症はその状況に陥るまでは、本人は何の自覚症状もないし、またその緊張空間から脱出すると、あっという間に嘘の様に気分が晴れ晴れとしてしまうのだ。恐らくこの方は以前、閉所で気分が悪くなり自分が閉所恐怖症だと思い込んでいる、しかし今回は座席に座っていても何の不安もなかったので大丈夫と思ってしまったのでは。産経新聞は自動機による搭乗手続きが進み、カウンターでの声掛けが減ったせいなどと間抜けな指摘をしていたが、そんな声掛けなどしても体調不良を事前に察知することなど出来なかったに違いない。搭乗手続きの最中は恐らく何ら兆候はないであろうし、本人も自覚症状はないであろう。空間恐怖症は、場所の広い・狭いは関係なく、ある特定の条件が整った時に起きる。例え短時間でも同じ姿勢で身動きできない状況にあること、身動きすると他人に迷惑がかかる状態にあること、または誰も助けももらえそうにない状況などで起こる。これも想像だが、この方はきちんと専門医の診察を受けていないのではないだろうか。受けていれば症状を抑える薬を処方してもらえる筈だ。飛行機を止めるというと物凄く大事に聞こえるが、本人はその瞬間、単なる恐いなどというレベルではなく、心臓が止まる様な死の恐怖を感じて理性では制御できないパニックに陥っていたと考えられる。「どうしても降りたい」という言葉にその気持ちが滲み出ている。決して軽はずみな気持ちではないだろう。大事になるということは本人も重々承知の上なのだと思う。今、飛行機を止めればみんなに迷惑がかかると思えば思う程、どんどん気分が悪くなっていくのである。
 断っておくが、私は病気なら回りにどんな迷惑をかけても許されるなどと言うつもりは全くない。 症状
が重いうちは乗らないに越したことはないし、症状が改善しても乗る以上は薬を常備すべきだろう。た
だこの様な出来事を、全日空が「あぜんとするような理由。他のお客さまの迷惑を考えれば・・・。」などと批判するように、単なる身勝手なモラル低下事件と同等に扱うのは如何なものかと思う。「うつ」などの神経症がますます増加している今日、原因の根っこは、日本社会の追い詰められたゆとりのない生きにくさにあるのだと思う。

参考資料:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070830-00000907-san-soci
      http://www.sankei.co.jp/shakai/jiko/070830/jko070830000.htm


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